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トヨタ自動車の去年4月から12月までのグループ全体の決算は、認証不正の問題を受けて日本で販売が減ったことや仕入れ先の支援などの費用により本業のもうけを示す営業利益が2年ぶりの減益となりました。一方、今年度1年間の業績見通しについては、値上げや円安効果などで売り上げにあたる営業収益が過去最高の47兆円になると見込んでいます。
トヨタ自動車が5日発表した去年4月から12月までの9か月間のグループ全体の決算は、売り上げにあたる営業収益が前の年の同じ時期より4.9%増えて35兆6735億円と、この時期として過去最高となりました。
しかし、本業のもうけを示す営業利益は13.2%減って、3兆6794億円となり、2年ぶりの減益となりました。
これは国の認証試験の不正問題で日本での販売が減少したほか、一部の車種のリコールに伴って北米でも販売が減少したこと、さらに職場環境の改善への投資や労務費の負担が増加する仕入れ先への支払いを増やしたことなどが要因です。
最終的な利益については、3.9%増えて、4兆1003億円でした。
一方、今年度1年間の業績見通しについては、円安による押し上げ効果や商品の値上げを踏まえて上方修正し、売り上げにあたる営業収益はこれまでの46兆円から、過去最高となる47兆円に、営業利益は4兆3000億円から4兆7000億円に、さらに最終的な利益も3兆5700億円から4兆5200億円としました。
決算発表に合わせてアメリカと中国での投資計画を明らかにし、このうち、アメリカでは南部ノースカロライナ州の電池工場で、ことし4月から出荷を始めると発表しました。
トヨタがアメリカ国内で電池を生産するのは初めてで、およそ5000人の雇用を見込んでいます。
また、中国では、上海で高級車ブランド「レクサス」のEV=電気自動車と電池を生産する会社を設立することを正式に発表しました。
トヨタが単独で出資し、2027年以降に生産を始める計画で、当面は年間10万台を見込んでいます。
トヨタ自動車の宮崎洋一副社長はオンラインで開いた決算説明会で、2026年にEV=電気自動車などの世界販売台数を年間150万台とする基準について、「電動化については二酸化炭素の削減を含め、しっかりと進めていかなければいけないと思っているが、その種類を選ぶのはお客様だ。バッテリーEVやハイブリッド車、水素など、すべてのものに対応していきたい」と述べました。
そのうえで、「種類が変わっても、電動化の歩みを止めないため電池の種類を極力統一したり、同じ工場の中で違う種類の電池を作れたりするなどの対応を進める。われわれとしては販売台数の基準は変えずに対応できる構えをとっていく」と述べました。
トヨタ自動車の宮崎洋一副社長はオンラインで開いた決算説明会で、認証不正の影響を受けた日本などで販売が減少したことに関連し、「生産台数も前期と比べると減ったが、これだけの改善努力が出てきたのは従業員、仕入れ先、販売店を含めて一体となった取り組みができた証しだ。生産の安定化は去年のうちにほぼ図れていて、1月から3月は1日当たり1万4000台を少し上回るペースでしっかり生産を続けていける」と述べました。
トヨタ自動車の宮崎洋一副社長はオンラインで開いた決算説明会で、アメリカのトランプ大統領の政策による影響について「どう対応するべきか、何が起こるのかいろいろな要素があって、シナリオを1本にできないのが今の状況だ。雨が降ったら傘を差す、くらいの気持ちでいろんなことに思いをめぐらせて、シナリオは持ちながらじたばたしないことが求められている」と述べました。
そのうえで「われわれの判断や向かう方向が一緒にがんばっている皆さんに大きく影響するので、決めるべきタイミングを慎重に判断していきたい。最終的には勝ちに持っていけるよう事業を展開していく」と述べました。
トヨタ自動車の上田裕之渉外広報本部長はオンラインで開いた決算説明会で、フジテレビで自社のコマーシャルの放映を見合わせていることについて、「われわれは車を生産・販売して一般のお客様に買っていただくビジネスをしており、メディアへの出稿や協賛は車をご愛顧いただいている方々がその事案をどのように感じて判断されるのかというのが非常に大事な指標になる」と述べました。
そのうえで、「どのように事案を捉えて説明責任を果たそうとされているか、その姿勢が果たして弊社やお客様が共感できるものかをみさせていただきながら総合的に判断させていただく。今回のケースは弊社としてコマーシャルを流すことはふさわしくないかもしれないと判断し、今のところ差し替えを行っている」と述べました。
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