
インドネシア政府は10月12日、インドネシア国際持続可能性フォーラム(ISF)2025で、経済成長環境の持続可能性のバランスを取ることを目指し、適正な採掘慣行とクリーンエネルギーの仕様に沿った鉱物資源の下流事業を推進する方針を示した。
インドネシア国際持続可能性フォーラム(ISF)2025で講演する投資・下流化省(BKPM)のヌルル・イチュワン(Nurul Ichwan)投資促進担当副官
Photo: Courtesy of InfoPublik/Amiri Yandi (出典:Indonesia.go.id)
同フォーラムでは「下流化の強化:重要鉱物産業への持続可能な投資」をテーマにパネル討論が行われ、インドネシア投資・下流化省(BKPM)のヌルル・イチュワン(Nurul Ichwan)投資促進担当副官をはじめ、国際商業会議所(ICC)のラエリーン・マーティン(Raelene Martin)氏、PTフリーポート・インドネシア(PT Freeport Indonesia)社のトニー・ウェナス(Tony Wenas)氏らが参加した。
政府は今後5年間で15の優先産品の下流産業に総額約3800兆ルピア(約2310億米ドル)を投資する計画を掲げている。対象にはニッケル、銅、ボーキサイト、鉄鋼などが含まれ、単なる工業化ではなく、エネルギー転換支援や持続可能な価値創出を目的とする。また、世界的な競争力を確保するためにEU炭素国境調整措置(CBAM)などの国際基準に準拠し、環境・人権デュー・ディリジェンスを重視する姿勢を強調した。
同投資促進担当副官は、重要鉱物が国際経済外交上の戦略資産になっていると指摘し、資源国と技術・資本保有国の橋渡しとなる政策の必要性を述べた。政府は適正な採掘慣行とクリーンエネルギー利用の推進を通じ、経済成長と環境保全の両立を図る方針だ。
討論では、電気自動車や再生可能エネルギー分野に不可欠なニッケルや銅、希土類金属などの下流産業拡大の潜在力が紹介された。PTフリーポート・インドネシア社とPTアンタム(PT Antam)社が年間30~50の金を国内市場に供給する戦略的提携を発表し、国内サプライチェーンの強化を図ることも明らかにされた。
インドネシア政府は環境に配慮した鉱物資源の下流化を通じ、最大8%の包括的経済成長を目指している。インドネシアの鉱物資源の価値を最大限に引き出し、責任あるガバナンスを確保し、エネルギー転換の時代におけるグリーン経済の世界的な拠点としての国の役割を強化するために官民・国際機関の協力が不可欠であると示された。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部
参考サイト(外部サイト):
● Portal Informasi Indonesia
https://indonesia.go.id/kategori/economic-business/10198/indonesia-boosts-mineral-downstreaming?lang=2
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