
ゲームとかできなくていい、とにかく仕事を快適に!って人に。
2025年秋に登場したLenovoのモバイルワークステーション、ThinkPad P1 Gen 8。米GizmodoのKyle Barr記者がしばらく使ってレビューしています。日本では最小構成でも約42万円とかなりのお値段になりますが、その価値を実感できたんでしょうか?
パソコン仕事を持ち帰るときの感じって、あまり好きになれません。ノートPCをリュックに入れて、ああこれからあの記事もこのレビューも書かなきゃ…っていう、気の重さ。
LenovoのThinkPad P1 Gen 8は薄くてカバンにスッと収まりすぎて、いやな予感がしてしまいます。ゲームにも使えるしね、なんて気休めも言えません。ThinkPad P1 Gen 8は、ワクワクもキラキラもない、例えるならば武骨な馬車馬で、そのわりにパフォーマンスは最先端じゃありません。
それでもとにかく薄く、手触りも気持ちよく、日々の業務のウンザリを軽減してくれるノートPCには違いないのです。
ThinkPadの最新モバイルワークステーション。
★★★★☆(4/5)
1,699ドル(約26万円、日本向けでは約42万円)から、レビュー機は3,525ドル(約54万円、日本向けでは約87万円)
明るく美しい3.2Kのタンデム有機ELディスプレイ、グレアを軽減するマットな画面、薄めで軽め。
マットなディスプレイで美麗さもダウン、スピーカーは貧弱。
ThinkPad P1 Gen 8を開くとすぐ、このダークな軍用品みたいなPCの魅力に気付かされます。3.2K(3,200 x 2,000ピクセル)・リフレッシュレート120Hzの16インチタッチ画面は、ただの有機ELじゃありません。それはタンデム有機EL、つまり発光層を2枚重ねることにより、従来以上に美しいコントラストと明るさを実現しているんです。また画面にはマットなフィルターがあり、有機ELの欠点である反射も抑えられています。
さらにThinkPad P1 Gen 8は素晴らしいキーボード(ThinkPadのアイコン的な赤いTrackPoint付き)を搭載し、触覚タッチパッドもスマート。そしてパームレストはプラスチックというより、滑らかな布を張ってあるかのようにも感じられます。これ以上は変えようがないくらい、シンプルかつ機能的なデザインです。
Lenovoがレビュー用に提供してくれた21Q8001UUSモデルは、CPUがIntel Core Ultra 7 255H、GPUがNvidia RTX Pro 2000、RAMは32GBのLPDDR5X、ストレージは1TBです。このスペックでお値段は3,525ドル(約54万円、日本向けでは約87万円)。
Webサイトでは、RAMは64GBまで、ストレージは4TB x 2枚まで選択可能で、Max構成にすると4,800ドル(約73万円、日本向けでは約140万円)を超えます。ただし、この世代のチップは、Intelが先日発表した次世代CPU・Core Ultra Series 3と比べ、性能やバッテリー持ちでは見劣りしてしまいます。
ThinkPad P1 Gen 8を評価できる理由はたくさんあるのですが、発売のタイミングは良くなかったですね。価格から期待されるほどのハイパフォーマンスPCではないかもしれません。
僕はノートPCを試すとき、必ず「リュックのノートPCスリーブに入るかどうかテスト」をします。16インチモデルだと入らないことが多く、ハイエンドなものほどその傾向が強いんですが、ThinkPad P1 Gen 8はなんとか押し込めました。
リュックに入れれば、重さはそこまで感じません。最小構成でも4.06ポンド(約1.84kg)ありますが、片手でベッドに持ち込むのも全然平気です。
さらにThinkPad P1 Gen 8の動作音は、墓場みたいに静かです。グラフィックス系ベンチマークで負荷がかかっても、ファンの音量は図書館でのささやき声程度でした。
デザイン的な装飾はほとんどありませんが、赤いTrackPointは健在です。あとはThinkPadのロゴが右手側のパームレストと画面の裏のフタにあり、「i」のドットに仕込まれた赤いLEDライトが電源オンを知らせます。
装飾がないといえば、入出力ポートも日々の業務にちょうど十分程度で、あり余るほどではありません。Thunderbolt 5対応USB-Cポートが2カ所に、Thunderbolg 4対応が1カ所、どちらのタイプでも同梱の140W GaN充電器が使えます。あとはUSB-A、HDMI 2.1、ヘッドホンジャックが各ひとつずつあり、幸いSDカードリーダーも付いてます。
また電源ボタンは、指紋リーダーも兼ねています。
このキーボードはThinkPadを使ったことのある人にはおなじみですが、そうでない人もきっと好きになると思います。キー間は広く、エッジが少し上がっていることでタイピングが速く、滑らかに感じられます。打鍵音がしっかりめで、この記事を書いてるときも流れに乗ることができました。
触覚トラックパッドにも十分な手応えがあり、ツルツルのスケートリンクみたいな他のトラックパッドの質感とは一線を画します。また物理的なスイッチでカチカチするのではなく、フォースフィードバックでクリック感を出しています。とにかく効率的に仕事をこなすことが喜び、という思想を体現するかのようなシンプルさです。
ThinkPad P1 Gen 8はあくまで仕事用PCとはいえ、このお値段を出すならマルチメディアだってこのPCで楽しみたくなりますよね。3.2Kのタンデム有機ELディスプレイは、ストリーミング視聴に使うのも全然アリです。
ただ他のディスプレイと比べて最善かというと、やはり仕事用なので明るい場所で使うことが想定されており、エンタメ用途には多少の妥協も求められます。
でもタンデム有機ELは、今ある画面の選択肢の中ではベストなもののひとつです。一般的な有機ELは、mini LEDのようなバックライト内蔵の液晶画面と比べて、明るさでは若干劣ります。自発光ディスプレイは他の手法で明るさを確保する必要があり、ThinkPad P1 Gen 8の場合、そのためにダイオードが2枚入ってるわけです。HDRでのピーク輝度は1,500ニトで、屋外でも見えなくなったりしません。
僕自身、コンピューター画面の美しさと使いやすさのベストバランスはまだ見つけられていません。有機ELだと、ディスプレイはマットで光沢なしのものより、光沢があるほうがキレイなんですが、マットなThinkPad P1 Gen 8も健闘しています。
僕が使っている間、画面に反射があって見づらかったのは、強い日光の真ん前にThinkPad P1 Gen 8を置いて、正面から見たときくらいでした。しかもその状況でも、見えにくいのは画面のごく一部だけで、大半はちゃんと見えていました。
ThinkPad P1 Gen 8のディスプレイは可変リフレッシュレートで、40〜120Hzの間で変化します。それがゲーミングに十分かどうかは、タイトルによって違いますね。
サウンドについては、このサイズのノートPCに期待できるレベルそのものでした。スピーカーは下向きの2Wステレオで、筐体底面の角が面取りされたデザインなので、フラットなデザインのものに比べれば音が伝わりやすいです。Dolby Atmos対応ではあるものの、音質的には外付けスピーカーには及びません。メインの用途は、Zoomで会話する程度と思ったほうがよさそうです。
ThinkPad P1 Gen 8にはいくつかの構成があり、さらにCPUやストレージを細かく選んで組み合わせることもできます。CPUをIntel Core Ultra 9 285Hにすると、価格は4,000ドル(約61万円)近くになりますが、今回のレビュー機は3,525ドル(約54万円)のIntel Core Ultra 7 255H搭載モデルです。
Intel Core Ultra 7 255Hは16コア・16スレッドで、クロック周波数は最大ブーストで5.1GHzになります。2025年のゲーミング用PCに入っていたHXチップとコア数は近いかもしれませんが、ワット数が低めで、よりオールラウンド向けにできています。
ThinkPad P1 Gen 8のGPUはBlackwellアーキテクチャのNvidia RTX Pro 2000で、RTX 50シリーズと同じファミリーには属しますが、ゲーミング用ではありません。グラフィックス処理は必要に応じてできる程度で、クリエイティブ作業用やゲーミング用PCと同等のレンダリング処理を目指してはいないんです。
なのでThinkPad P1 Gen 8は、パフォーマンス的には一般的な軽量ノートPCとヘビーなデスクトップPCの中間くらいに位置します。バッテリーライフは長めですが、ゲームでのパフォーマンスは相対的に低いです。
RTX Pro 2000 BlackwellのVRAMは16GBのDDR7で、RTX 5070 GPUを動かすモバイル端末より大容量です。でもある種のタスクでは、RTX Pro 2000は前世代のRTX 4060 GPUと同等のグラフィックス性能しか出ていません。
ベンチマークを見てみましょう。Geekbench 6では、Intel Core Ultra 7 255HはシングルコアではAMD Ryzezn AI 7 350と互角、マルチコアでは4,000ポイント高い結果です。が、IntelのHXチップ、たとえばCore Ultra 9 275HXなどと比べると、シングルコアでは300ポイント、マルチコアでは3,000ポイント低く出ています。
CPUのレンダリング性能を見るCinebenchでは、Acer Predator Triton 14 AIに搭載のIntel Core Ultra 9 288Vなど、Lunar Lake世代のチップよりはわずかにベターです。でも14インチMacBook Proと比べると、M5チップがサーマルスロットリングで重くなっているのに、Intel Core Ultra 7 255Hは足元にも及びませんでした。
3DMarkのテストでは手がたい結果でしたが、とはいえやはりThinkPad P1 Gen 8は、ヘビーなグラフィックス作業やゲーミングに使うものじゃないです。RTX Pro 2000のパフォーマンスは、多くのテストで2023年のRTX 4060よりほんのちょっとベターといった程度でした。
でも一般的な作業では、ThinkPad P1 Gen 8は納得のパフォーマンスを見せてくれます。
CPUとGPUを使って画像をレンダリングさせるBlenderのテストでは、Framework 16に搭載のRyzen AI 7 350より30秒高速でした。RTX Pro 2000は21秒でシーンを処理できて、Razer Blade 14のRTX 5070やMacBook ProのM5には及ばないものの、全然遅くはありません。
CPUに関しては、Intel Core Ultra 7 255Hは14インチMacBook ProのM5に比べたら全然遅く、Geekbench 6では1,000ポイント近い差がついてしまいました。M4搭載のMacBook Airより若干良い程度なので、価格にふさわしいかどうかは悩ましいところです。
RTX 50シリーズ搭載のゲーミングPCはバッテリーをどんどん消費するのに対し、ThinkPad P1 Gen 8は高性能ながらバッテリーは1日近く持ちます。
僕の普段の使い方、つまり記事執筆や投稿作業、画像編集などであれば、ほぼ1日使えました。作業開始してから省電力モードに入るまでには、平均6時間ほどかかり、その後さらに2時間ほどは使用可能でした。もちろんGPUを酷使するような使い方では、すぐに充電が必要になります。
ThinkPad P1 Gen 8には、高速充電できる140WのGaNチャージャーが付いてきます。小さめながら、Lenovoいわく1時間でゼロから80%まで行けるとのことで、僕の検証でもほぼ同じ結果でした。
僕は今、興味深い状況にいます。ThinkPad P1 Gen 8をすごく気に入ってしまったんです。でもこのお値段なので、こういう薄いワークステーションより、もっとパワフルなデスクトップ級のノートPCにすれば、あれもこれもできるし…と考えてしまいます。
ThinkPad P1 Gen 8は、何も(GPU以外は)犠牲にせずに、できる限りのパフォーマンスを求める働き者のためのPCです。有機ELのMacBook Proが出てくるまでは、どんなMacBook Proよりも、見た目・使い心地ともに優れています。ThinkPadとしての魅力も、まだまだ捨てがたいです。
ただCPUとGPUのパワー、そして長く使えるかどうかという意味では、ThinkPad P1 Gen 8はまだ完ぺきではない…とも感じました。
Advertisement
22,047
8,902
5,958
21,752
146,329
88,374
25,385
67,896
21,424
235,096
200,907
158,095
33,233
112,513
9,369





![]()

Follow us
Copyright © Mediagene Inc. All Rights Reserved.