2025年の食品安全問題にみる中国市場のトレンド 食品を巡る日中関係の潮流/森路未央(寄稿) – Yahoo!ニュース


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北京「西貝」2024年10月31日(筆者撮影)
農林水産物・食品を巡る日中関係は、それぞれの政治経済・社会環境の変化に伴って、関係の悪化と修復を繰り返してきた。本稿では、日中食品ビジネスの変遷を振り返りながら、中国市場で現在進行している規制・消費者意識・制度変更が、日本企業の事業戦略にどのような影響を及ぼしているのかについて、大東文化大学の森路未央准教授が解説する。 【ランキングを見る】2025年の食品安全と健康ホットトピック10
周知のとおり、中国は1978年末に市場経済体制への転換を開始し、2010年には日本を越え、世界第2位のGDP大国となった。中国の高度成長時代にあたるこの約30年を振り返ると、2000年代初頭までは中国での製造コストが日本よりはるかに低かった時代に適応した食品ビジネスが展開された。それは、開発輸入型ビジネスの中国展開を目的にした日本企業の対中投資である。 中国が登場する前の開発輸入型ビジネスは、台湾などで展開していたが、生産コスト高に直面していた。中国が有する、広大な農地、低廉かつ豊富な労働力といった生産コストの削減力、日本に近い気候などを生かせば、台湾の代替地に留まるどころか、大規模な展開が臨めるため、日本の食品メーカーや商社は中国への移転や増設を行った。 生産・加工現場の立地は、南北にも広大な中国の特性を生かし、1社で山東省と福建省など複数地域に工場を設け、地域間のリレー出荷体制を構築し、日本への周年供給を実現した。こうしたビジネスの拡大に伴い、現地では地場企業のサプライヤーが誕生し、周辺農家から原料農産物を集荷することへの管理など、日系サプライヤーのインテグレーション力が求められた。 そこで課題となったのが安全性である。2000年代前半には、中国産輸入食品から基準値を超える残留農薬の検出が日本や香港で大きく報道され始め、日中双方での対応が始まった。政府も介入して新たな制度も現場にもたらされ、食品安全監督管理体制が整備されてきた。 しかし2008年に日本で中国産冷凍餃子から有機リン酸系薬物が検出された問題が生じた。日中の企業や政府が共同で対応してきた日々の努力が一気に崩されてしまう出来事であった。それでも中国は2009年に食品安全法を施行するなど法規を整備し、関連企業も着実に対応してきた。輸入食品の安全性を巡る問題は特に中国産になると、センセーショナルに発信されることが多い。 しかし、統計からみると、中国からの輸入食品の検査違反率は他国と比較して高くないのが実態である。例えば「令和5年度輸入食品監視統計」をみると、中国産は輸入届出件数が90万5785件、検査件数が8万5435件、違反件数が206件で違反率が0.241%であった。第2位のフランスは違反件数が11件、違反率が0.109%、第3位の米国は同100件、同0.726%、以下、タイは同44件、同0.417%、韓国は同23件、同0.318%であった。 中国産よりも違反率が高い国は多く、中国産だから安全ではないということでは全くない。しかし、日本ではなかなか理解が得難い中国という国が持つ「規模」がこの分野でも生じてしまうのである。 2010年代になると、中国では所得水準が1万ドルを超える地域や階層が拡大し、消費者の購買力が高まってきた。この状況を受け、開発輸入を展開する企業のなかで、中国国内販売ビジネスを展開する企業が増加した。また、2000年代初頭の小泉純一郎政権による日本産農林水産物・食品等の輸出促進策1兆円目標の本格開始に、中国の購買力向上が加わり、日本産食品の対中輸出が増加する。 2011年に生じた東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う農林水産物・食品等の輸出規制などにより、輸出の停滞が現在も続いている。2025年の対中輸出額は1799億円となり、輸出先国・地域としては第4位に下がったが、重視すべき市場である。 また、日本の外食産業の中国進出も増加している。2025年11月の「海外における日本食レストラン数の調査結果」(農林水産省輸出・国際局)によると、中国の日本食レストラン数は第一位の6万3500店(23年比1万5260件減)で、第二位の米国(2万6360店)となった。 中国のレストラン数の多さの背景に、中国企業による開店に加えて、日本の大手チェーンによる投資の拡大が挙げられる。
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