腸内で脂肪吸収を抑える経口化合物を開発 シンガポール南洋理工大学 – Science Portal Asia Pacific


シンガポールの南洋理工大学(NTU)は2月11日、腸内で食事由来の脂肪吸収を抑える経口化合物を開発したと発表した。研究成果は学術誌Pharmacological Researchに掲載された。
(出典:NTU)
肥満は世界で10億人以上に影響し、2型糖尿病や心血管疾患、肝疾患の増加を招いている。シンガポール保健省の2022年国民栄養調査によれば、1日当たりの平均脂肪摂取量は2019年の94gから2022年には約100gに増加した。肥満は脂肪肝と強く関連し、世界の成人の約3人に1人が脂肪肝を患い、その最大80%が肥満とされる。シンガポールでは2030年までに成人の最大40%、約180万人が脂肪肝になると予測されている。
本研究はNTUのリーコンチアン医科大学のアンドリュー・タン(Andrew Tan)准教授と、NTUの化学・化学工学・バイオテクノロジー学部のタン・チューン・ホン(Tan Choon Hong)教授らが主導した。開発した化合物は血流に入る量が最小限で主に腸内にとどまり、腸管細胞上の脂肪取り込み受容体を阻害することで脂肪吸収を直接抑える。同時に短鎖脂肪酸を産生する有益な腸内細菌を促進し、代謝改善や炎症低減、腸内バリアの強化につながることが分かっている。高脂肪食を与えたマウスでは、体重増加と肝臓への脂肪蓄積が抑えられ、毒性は確認されなかった。
化合物は体内や食品中に微量存在する天然脂質であるFAHFAにヒントを得ており、経口使用に適し、腸内で安定するよう改良した。脂肪消化を完全に阻害する既存製品と異なり、穏やかに吸収を遅らせる設計である。研究チームは長寿バイオテクノロジー企業のアリア・バイオサイエンス(Aria Bioscience)社と連携し、医療グレードの栄養補助食品ブランド「Arialab RX」としての提供を目指し、研究と臨床試験を進める。
タン准教授は、腸での脂肪吸収に制御的なブレーキをかけることで、肝臓に到達する脂肪を減らせる可能性があり、適切な栄養を確保しながら脂肪の扱いを改善する支援策になると述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部
発表論文: Xie et al. (2026) A gut-liver lipid flux checkpoint mediates FAHFA protection from MASLD
参考サイト(外部サイト):
● 南洋理工大学(NTU)
https://www.ntu.edu.sg/news/detail/natural-gut-based-compound-to-support-weight-loss-safely
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