AbemaTVが開局から10年で悲願の四半期単体黒字化を達成、成功のカギとなったのは? – @DIME アットダイム


サイバーエージェントの子会社AbemaTVは、2025年10-12月に四半期単体での黒字化を達成しました。2016年4月のABEMA開局から10年近い年月を経て、業績に寄与するメディアに成長しました。
他社のコンテンツ放送に特化したU-NEXTや、キー局の合弁会社で見逃し配信サービスを行うTVerはすでに黒字化を果たしていますが、国内のメガベンチャーがオリジナルコンテンツのメディア事業で成功を収めた功績は計り知れません。
サイバーエージェントのABEMAを包括するメディア&IP事業は、2025年9月期にすでに通年での黒字化を達成していました。ただし、この事業には、ドル箱の公営競技投票サービス「WINTICKET」が含まれています。運営するサイバーエージェントの連結子会社WinTicketは2025年9月期に55億4500万円もの純利益を出しました。
一方で、ABEMAは先行投資が続いている状態でした。それが、とうとう2025年10-12月に5000万円の利益を出したのです。
メディア単体で利益を出した要因の一つに、広告を出稿するクライアントが急増していることがあります。2025年度は996社で、前年度から156社(およそ2割増)積み上げました。
ABEMAは2024年10月から「広告付きABEMAプレミアム」プランを580円で提供しています。この新プランが奏功。2024年度のクライアント数は840で、前年度の545社から295社(5割増)も増加していたのです。
サイバーエージェントの創業者である藤田晋氏は、伝説的な営業パーソンとして有名。創業前に仕事をしていた会社では、優秀な営業成績を残していたことで知られています。
法人格と言われる通り、会社は創業者のDNAを受け継ぐのが通例。サイバーエージェントも営業力が強い会社として名を馳せました。それがインターネット広告業界でトップの座を走り続ける原動力にもなりました。
ABEMAは広告付きプランを開始したことで、サイバーエージェントらしさを発揮することができたのです。
営業力という強みを生かすことができたのと同時に、コンテンツ力を磨いた成果も出ました。
ABEMAの1週間当たりの利用者数は3000万近くに及んでおり、着実に数字を伸ばしています。アニメ、バラエティ、ドラマ、スポーツとコンテンツの幅が広いことも特徴的。
サイバーエージェントは、Netflixの週間グローバルTOP10にて2週連続TOP10入りを果たしたアニメ「光が死んだ夏」の主幹事を務めました。この作品はNetflixの日本デイリーランキングでは1位を獲得する人気作。
アニメ製作の主幹事は、作品の方向性を決め、関係する会社の調整を行うなど、高い運営能力が求められます。広告代理店や映画会社、テレビ局など業界で力を持つ会社がその役割を担うのが通例でしたが、サイバーエージェントはそこに食い込みました。
「光が死んだ夏」のクオリティの高さを見ても、十分すぎる能力を持っていることがわかります。サイバーエージェントは2025年放送の「アポカリプスホテル」の主幹事も務めていますが、この作品は口コミでじわじわと人気が広がった作品。このような骨太な作品を扱っていることからも、流行より良質なアニメーションを届けようとする姿勢も伝わってきます。
今期からは子会社CygamesPictures(新社名:サイピク)をゲーム事業からメディア事業へと移しました。この会社は「ウマ娘 プリティーダービー」など自社ゲームのIPをアニメ化することに強みを持っていましたが、メディア事業に移ることで、他社IPを扱うなど表現の幅が広がることになります。
恋愛番組やバラエティでもヒット作を連発しています。
恋愛リアリティ―ショー「シャッフルアイランド」はシリーズ累計視聴回数が2.5億を突破。ABEMAの中でも爆発的な人気を博しています。
中高生に人気の「今日、好きになりました。」も数字を伸ばし続けており、2025年7月には週間の10代女性を対象としたABEMAの週間視聴者数が過去最高を記録しました。
若者のテレビ離れが進む中、10代女性をがっちりと囲いこんでいるメディアは貴重。広告を出したいと企業感じさせるコンテンツを作っていることも、クライアント数を伸ばしている背景にあるでしょう。
バラエティ番組では2025年8月から「ドーピングトーキング」が始まりました。人気芸人によるトークバラエティですが、キー局で放送している番組のエッセンスを巧みに抽出した構成。初回放送は209万視聴を突破するなど、人気コンテンツとなりました。
ABEMAといえば、「FIFA ワールドカップ カタール 2022」の全64試合を無料生中継したことで有名。しかし、AbemaTVは四半期で103億円もの大赤字を出す結果になりました。現在、スポーツ分野においては手堅く運営しています。DAZNやWOWOW、スポーツ専門チャンネル「J SPORTS」などと共同で配信する体制をとっているのです。
スポーツコンテンツは放映権の獲得競争が過熱しており、巨額の投資が必要。この分野の大御所であるDAZNですら黒字化できていません。
スポーツにおいて投資を抑制していることも、AbemaTVの黒字化に寄与していると言えるでしょう。
サイバーエージェントのメディア&IPの強さは、その多彩さにもあります。ABEMAという放送サービスを持っているのはもちろんですが、マンガや2.5次元の舞台、興行も行っているのです。
足元ではオリジナルIPの創出に力を入れていますが、ヒット作を生み出せばメディアミックス展開が即座にできるインフラを整備しました。
サイバーエージェントはゲーム開発に取り組むベンチャー企業の中でも、オリジナルIPのゲーム開発に果敢に取り組んでいる会社の一つ。「Project GAMM」や「Project Awakening」などの大型開発プロジェクトを進めています。
ゲームはIPの創出において重要なセクターであり、ヒット作が生まれた際の影響力は絶大。メディアミックスによってその力を拡大することができます。
サイバーエージェントはインターネット、ゲームに続いてメディアという第3の成長ステージに入りました。
文/不破聡
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