
韓国科学技術院(KAIST)は2月19日、電気工学科のチャン・ミンソク(Min Seok Jang)教授が率いる研究チームが漢陽大学校の研究チームと共同で、光の入射角が変化しても安定して色を分離できるメタマテリアルベースのイメージセンサー技術を開発したと発表した。研究成果は学術誌Advanced Optical Materialsに掲載された。
KAIST電気工学科のチャン・ミンソク(Min Seok Jang)教授(右)と研究チームメンバーら
スマートフォンのカメラは小型化が進む一方で、より高精細な画像が求められている。しかし、カメラのピクセルが極めて小さくなるにつれ、従来のレンズのみでは十分な光を集めることが難しくなるという課題がある。
この課題に対応する技術として、ナノフォトニックカラールーターが提案されている。これはレンズで光を集めるのではなく、肉眼では見えない微細な構造を用いて入射光を色ごとに分離する仕組みである。メタマテリアル構造によって光の進行経路を設計し、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色に分離することができる。サムスン電子(Samsung Electronics)は、この技術を「ナノプリズム」として実際のイメージセンサーに適用し、実用化の可能性を示している。
斜入射条件下でも確実に動作するナノフォトニックカラールーター技術
(AI生成画像)
しかし、従来のナノフォトニックカラールーターには、光が斜めから入射すると性能が大きく低下するという課題があった。この「斜入射問題」は、スマートフォンのカメラのようにさまざまな角度から光が入る環境では重要な課題とされてきた。研究チームは原因を調査し、従来設計が垂直入射光に過度に最適化されていることを確認した。
そこで研究チームは、構造を手動で設計するのではなく、コンピューターが最適な構造を導き出す「逆設計手法」を採用した。この手法により、光の入射角が変化しても安定して色分離できるカラールーター構造を導き出した。
その結果、従来構造では光が約12度傾くとほぼ機能しなくなるのに対し、新しい構造では±12度の範囲で約78%の光学効率を維持し、安定した色分離性能を示した。さらに研究チームは、メタマテリアル層の数、設計条件、製造誤差などを考慮した性能変動を分析し、入射角変化に対する性能の限界を体系的に示した。
斜入射に強いナノフォトニックカラールーター
(出典:いずれもKAIST)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部
発表論文: Jeon et al. (2025) Inverse Design of Nanophotonic Color Router Robust to Oblique Incidence
参考サイト(外部サイト):
● 韓国科学技術院(KAIST)
https://news.kaist.ac.kr/newsen/html/news/?mode=V&mng_no=58330
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