低周波帯域が次世代地域ネットワークの有力候補になる可能性を提示 豪CSIRO – Science Portal Asia Pacific


オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は3月12日、1GHz未満の低周波帯域を使う無線ネットワークが、豪州の広域な農業地帯や地域インフラで、長距離かつ安定した接続を実現する有力な通信手段になり得るとする研究成果を発表した。
低周波信号は高周波帯域に比べて波長が長く、遠くまで届きやすく、丘や樹木、建物などの障害物を回り込みやすい。このため、都市部で高速通信を実現する高周波ネットワークとは異なり、地方や遠隔地で途切れにくい広域通信に向く。CSIROのミン・ディン(Ming Ding)博士は、高周波ネットワークを狭い範囲を強く照らす「スポットライト」、低周波ネットワークを広い範囲を安定して照らす「投光器」に例える。
CSIROの研究チームは、日本のシャープ(SHARP)社と連携し、豪州の農場で低周波帯域の実地試験を行った。WiFiや5Gよりかなり低い約240MHzの信号と、約0.01mWの極めて低い送信電力を使い、牧草地に設置したカメラの映像をAI家畜監視プラットフォームへ送信した。試験は市販機器を用い、実際の地形や天候、家畜の移動がある環境で実施されたが、監視用途ではほぼリアルタイムといえる応答性と安定した映像伝送を確認した。
(出典:いずれもCSIRO)
この結果は、低周波帯域が農業だけでなく、鉱業、エネルギー、環境監視、電力網管理、森林火災検知、鉄道や物流の安全対策などにも応用できる可能性を示している。高速大容量通信を置き換えるのではなく、広域で信頼性の高い通信を支える補完的な基盤として機能し、通信不能地帯の縮小や地域社会の強靱化に役立つと期待される。
動物行動と福祉を研究するキャロライン・リー(Caroline Lee)博士は、農家にとって接続性はぜいたく品ではなく、牧草地やポンプ、家畜、機械からのデータに基づく意思決定の基盤だと説明した。ディン博士も、将来のネットワークは速度だけでなく、回復力、セキュリティ、主権的な管理を含めて設計すべきだとし、低周波帯域がその重要な一部になるとの見方を示した。
今回の研究は、日本の情報通信研究機構(NICT)の革新的情報通信技術(Beyond 5G(6G))基金事業として実施された。またCSIROと豪州内務省の安全な6G通信ネットワーク研究や、オーストラリア貿易投資促進庁(Austrade)の支援も受けた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部
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