1月消費者物価指数 「米類」の上昇率70%超え 歴史的な高騰に | NHK – nhk.or.jp


消費者物価指数
家庭で消費するモノやサービスの値動きをみる1月の消費者物価指数は、天候による変動が大きい生鮮食品を除いた指数が去年の同じ月より3.2%上昇し、2か月連続で上昇率が3%台となりました。とりわけ「米類」の上昇率は70%を超えています。

私たちがよく購入する品目の上昇率についてもお伝えします。
「頻繁に購入する品目」上昇率は6.2%
値上がりで断念「野菜不足」という人も
「おかわり無料」のとんかつ店では
給食は食材変更など工夫 ひき肉に刻んだ大豆を
専門家「加工食品や外食にも影響波及」
目次
「頻繁に購入する品目」上昇率は6.2%
値上がりで断念「野菜不足」という人も
「おかわり無料」のとんかつ店では
給食は食材変更など工夫 ひき肉に刻んだ大豆を
専門家「加工食品や外食にも影響波及」
総務省によりますと、1月の消費者物価指数は、生鮮食品を除いた指数が2020年の平均を100として109.8となり、去年の同じ月より3.2%上昇しました。

上昇率は前の月、12月の3.0%から0.2ポイント拡大し、2か月連続の3%台となりました。

とりわけ食料品の値上がりが顕著で、このうち「米類」は去年の同じ月より70.9%上昇し、過去最大の上昇率を4か月連続で更新する歴史的な高騰となっています。
コメに関連する品目でもスーパーなどで販売されている
「おにぎり」は9.2%
「すし」は7.3%上昇しました。

このほか
「チョコレート」が30.8%
「コーヒー豆」が23.7%と大幅な上昇となっています。

一方、生鮮食品を含めた総合指数では去年の同じ月より4.0%上昇し、おととし1月以来の4%台となりました。

このうち野菜や果物などの「生鮮食品」全体では21.9%の上昇で、2004年11月以来、およそ20年ぶりの高い水準となりました。
主なものでは、
「キャベツ」が去年の同じ月から192.5%の上昇とおよそ2.9倍
「はくさい」109.9%の上昇とおよそ2.1倍となっています。

また、
「みかん」は37.0%
「いちご」は20.0%
それぞれ上昇し、食料品の値上がりが物価指数を押し上げる形が鮮明になっています。
1月の消費者物価指数のうち、「頻繁に購入する品目」と区分されている44品目の上昇率は6.2%で、生鮮食品を含めた全体の上昇率を上回っています。

消費者物価指数は、総務省が582品目のモノやサービスの値動きを毎月調査し公表しているもので、この中では消費者が購入する頻度ごとにわけて上昇率などをまとめています。

このうち年間15回以上購入する品目は「頻繁に購入する品目」とされ、現在44品目が対象となっています。

ほとんどが食料品で、食パンや豚肉、牛乳、卵、それにキャベツやレタスといった野菜のほか、食料品以外ではポリ袋、診療代、ガソリンが含まれています。

この44品目の上昇率は去年1月には前の年の同じ月と比べて5.6%でしたが、その後は縮小傾向で去年9月には0.6%まで下落していました。

しかし、その後は再び拡大が続き、去年11月には3.2%、去年12月には4.6%の上昇となりました。そして先月は去年の同じ月と比べて6.2%の上昇となり、上昇率は前の月・12月から1.6ポイント拡大し、2023年12月以来、1年1か月ぶりに6%を超えました。

これは、先月の生鮮食品を含めた総合指数の上昇率、4.0%を2.2ポイント上回っています。
品目ごとにみますと、「キャベツ」が去年の同じ月から192.5%の上昇とおよそ2.9倍、「レタス」が68.2%、「トマト」が43.1%、「ピーマン」が29.9%、「ねぎ」が27.5%、「にんじん」が22.7%などと野菜の値上がりが目立っています。

このほか、「チョコレート」が30.8%、「おにぎり」が9.2%、「ハム」が8.8%、国産の「豚肉」が6.6%、「ガソリン」が3.9%などとなっています。
東京・板橋区にある商店街では野菜の値上がりを実感しているといった声が多く聞かれました。

20代の女性は「レタスが高いので、友だちはみんな『サラダを食べたいけど高くて断念する』と言っています。サラダを作れないので、野菜不足です」と話していました。

また、30代の女性は「キャベツなど野菜が全体的に高いという気がしています。商店街には八百屋さんなどが何軒かあるので、安い時に安いものを見つけて買います。お菓子も全体的に上がっていて、たまに買おうとした時に高くなったと思います」と話していました。

60代の男性は「みんな高いなと思います。農家から直接買うと安いので、そうした工夫はしています。妻は八百屋よりずっと安いと言っていました」と話していました。

70代の女性は「以前は5000円で買えたものが、7000円くらいかかるようになりました。買い物してレジで金額を見てびっくりして、お金が無いときは慌てて返品することもあります。年金生活なのでみんなで1つのものを買って分け合うなど、工夫しています」と話していました。
都内のとんかつ店では、食材の仕入れ価格が上昇する中でも、キャベツやごはんを無料でおかわりできるサービスを続ける一方、単価の高い新メニューを開発するなどして、乗り切ろうとしています。

東京・文京区にあるとんかつ店では、キャベツやごはん、それにみそ汁を無料でおかわりでき、学生から社会人まで幅広い年齢層の人たちが訪れています。

こうした中店では、食材の仕入れ価格の上昇に直面していて、このうちキャベツは、2月は去年の同じ時期と比べて3倍近くになっているほか、コメは2倍以上、豚肉も10%から20%ほど値上がりしているということです。
しかし店では、キャベツやごはんを無料でおかわりできるサービスは他の店と差別化する上でも重要だとしていて、いまのところこのサービスを続けていきたいとしています。

一方、こうしたサービスを維持する上でも、利益を確保する必要があるため、去年12月にほぼすべてのメニューを100円値上げしました。

さらに、1月からは、ボリュームが売りの定食で、3000円近くする高価格帯の新たなメニューの提供を始めました。

30代の会社員は「営業の外回りでおなかがすいているのでおかわり無料は本当にありがたいです。特にキャベツは最近食卓には出てこないのでこのお店で食べさせてもらっています」と話していました。

店のマネージャーを務める沼能栄伸さんは「毎月のように業者から価格改定のお知らせが来ていて、仕入れ値の上昇はことしいっぱい続くと思います。値上げをしないようコストを削減しながら、おかわり無料で他店との差別化をはかるとともに、新メニューの提供で何回も店に来てもらうことを目指しています」と話していました。
肉や野菜など食材価格の上昇が続く中、東京・武蔵野市の小中学校に給食を提供している調理場では、コストを抑えるため、使用する食材を変更するなどの工夫を続けています。

調理場を運営する財団によりますと、キャベツやたまねぎなど給食に使用する食材全般で価格が高い状態が続いているということで、必要な栄養やおいしさを保ちながらコストを抑えるための工夫を重ねてきました。

野菜は使う量を減らしたり、他の食材で代替することが難しいため、工夫の多くは部位や形状に応じて価格が異なる肉を中心に行っています。

例えばスープで使う鶏肉をもも肉ではなくむね肉に変更したり、価格を抑えやすいひき肉を使ったどんぶりの提供回数を増やしたりしたということです。
このほか、ビビンバでは、ひき肉に刻んだ大豆を混ぜたり、レーズンパンなどに比べて価格が安い食パンやコッペパンの提供を増やすなどしてきたということです。

ただ、給食では必要とされる栄養やカロリーを満たす必要があるため、工夫だけで対応するには限界があるといいます。

こうした状況を踏まえ武蔵野市では今年度の補正予算で、給食で使用する食材価格の上昇に対応するための費用、1900万円あまりを計上しました。

武蔵野市給食・食育振興財団の栄養士、田中浩子さんは「食材価格が上昇する中、栄養面や食べあわせなども考えながら献立を作るのは時間がかかります。ただ成長期の子どもには栄養をきちんととらせてあげたいし、いろいろな食材の味を感じてほしいので、お金がないから作れないとならないようにしたいです」と話していました。

また今後については「新年度にならないとわからない状況ですが、野菜やコメの値段が高くなると給食費を圧迫するので、安定して供給してもらえたらいいなと思います」と話していました。
1月の消費者物価指数について日本総合研究所の後藤俊平研究員は「食品価格の上振れが物価の伸びをけん引したという印象だ。コメや野菜の価格高騰が続くのはある程度予想されたが、加工食品や外食といった二次的な部分にも影響が波及している」と話しています。

このうち頻繁に購入する品目の値上がりが全体の伸びを上回っていることについては「体感物価としてより高くなったように感じてしまう部分は大きい。日々、価格を見る機会も多いため、例えば、価格が上がったら買う量を控えるなど消費マインドの落ち込みにつながりやすい傾向にある。またぜいたく品やサービスにかける支出を減らす傾向が出てくる可能性もあり、注視する必要がある」としています。

また「消費は弱い状況が続いているが一段と悪化する局面に入ってもおかしくはない。ようやく足元で賃金が上がって物価も上がってという好循環が芽生えつつある中で、ここで消費が下振れしてしまうと好循環を途絶させる要因にもなりかねない」と指摘しています。
林官房長官は閣議のあとの記者会見で「上昇の主な要因としては生鮮食品で去年夏以降の高温や12月から1月の少雨による生育不良などにより野菜価格の上昇率が拡大したことや、生鮮食品を除く食料でも上昇幅が拡大したことなどがある」と説明しました。

その上で「賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る経済の実現に向け、省力化投資の促進や価格転嫁の徹底などを進め賃上げ環境の整備などに取り組むとともに、賃上げの恩恵を受けにくい人たちをきめ細かく支援するため低所得世帯向けの給付金や地域の実情に応じた『重点支援地方交付金』などの迅速で適切な執行に努めたい」と述べました。
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