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写真右：鎌田 貴史 氏
フリー株式会社
ERP事業本部 マーケティング部 部長
写真左：渡邊 陵平 氏
フリー株式会社
ERP事業本部 マーケティング部 マネージャー
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―――御社は会計ソフトのイメージが強いですが、販売管理システム「freee販売」を開発した経緯をお聞かせください。
鎌田：我々は「スモールビジネスを、世界の主役に。」というミッションのもと、統合型経営プラットフォームの実現を目指しています。これまでは特に会計や人事労務などバックオフィスの方々を中心にご利用いただいてきました。そんな中で、会計に至る「前段」のプロセス、すなわち「取引」そのものの管理に課題を感じるというお声を、経営者の方々から非常に多くいただいていました。
たとえば、経営会議で使われる管理会計上の数値と、経理が作成する財務会計上の数値に乖離がある。それによって、二重入力や転記の手間が発生し、データの信頼性そのものが揺らいでいる。あるいは、データがリアルタイムに更新されず、月次決算を待たないと経営やプロジェクトの実態がわからないといった課題です。
この「取引」のデータとバックオフィス（会計・人事労務）のデータを分断させず、統合していくことこそが、プラットフォームの実現に不可欠であるという考えに至りました。そこで、会計や人事労務に続く、統合型経営プラットフォームの重要なピースとして「freee販売」の開発を始め、2022年にリリースしました。
―――freeeの製品に共通している価値観や開発思想などはありますか？
鎌田：先ほどお伝えした、「統合型経営プラットフォーム」がfreeeのプロダクトの設計思想の根幹にあります。サイロ化しがちな情報とデータを統合し、複雑な経営をよりシンプルにしていくことが、最も重要だと考えています。
データがネイティブに連携しているがゆえに転記が不要であったり、二度手間を徹底的に排除していくという思想は、freee販売のみならず、freeeの全てのプロダクトに一貫している点ですね。
―――freee販売の特徴や実現できることについて教えてください。
鎌田：freee販売は、会社全体や部門全体といった大きな「粒度」ではなく、一つひとつの「プロジェクト（案件/取引）」単位でデータを蓄積・可視化します。これにより、部門横断で「単一の信頼できるデータソース」を誰もが参照できるようになります。そして、プロジェクトごとの採算性や収支が正確かつリアルタイムに把握できます。
これによって、プロジェクトごとの収支状況が一目瞭然になり、「よりコストを最適化すべきか」「このタイプの案件は利益率が高い」といった、データに基づいた経営判断がしやすくなります。
―――なぜfreee販売ではプロジェクト単位で収支管理を行うのでしょうか？
鎌田：そもそも「収支管理やっていますか？」とうかがうと、ほぼすべての企業様が「やっています」と答えます。しかし本質的には、どの「粒度」で収支を把握しているかが、経営において決定的に重要です。これが会社単位なのか部門単位なのか、それともプロジェクト単位なのか。我々は、これをプロジェクト単位で「高解像度」に見ることが最も重要だと考えています。
会社全体のPLが悪化していても、部門横断で集計された財務データを眺めているだけでは、真因の特定は困難です。リソース配分や価格交渉をどうすべきかといった具体的な経営アクションにつなげるには、プロジェクトレベルでの解像度が不可欠です。
―――現場の方に使い続けてもらうこともハードルのひとつになりそうですね。機能性や操作性などで工夫されている点はありますか？
鎌田：たとえば、1つのプロジェクトに関するあらゆる関連データ（見積もり、発注、請求、原価など）が、プロジェクト情報に一元的に紐づく形で1画面で可視化されます。
freee販売のプロジェクト収支サマリー画面（フリー株式会社提供）
また、商品マスタや取引先マスタを一度登録しておけば、あとはfreee販売のワークフローに沿って業務を推進するだけで、見積書や請求書など必要な帳票が自動生成されるため、オペレーション負荷がありません。さらに請求書を送付したタイミングで、自動でステータスが「送付済み」に変わります。ステータスを手動で更新する煩わしさがなく、常に関係者全員が最新の状況を把握できます。
―――競合他社とのコンペティションや乗り換えの際、どのような点を評価されてfreee販売が選ばれていますか？
渡邊：「営業管理」「帳票発行」「売上と原価の可視化」の3つをパッケージで提供していることを評価して導入いただくお客様が多いですね。
たとえば、プロジェクト売上の管理はSFAやCRM、請求書の発行・管理は帳票管理システムでもできますが、3つの要素をシームレスに一元管理できない、あるいは高額な二次開発が必要になるケースが多々あります。freee販売は、スモールビジネスの利益マネジメントに必要なこれら3つの要素をワンパッケージで提供しています。
鎌田：スモールビジネスに必要なワークフローや情報項目が、あらかじめパッケージとして定義されている。だから、お客様はそのワークフローに沿って進むだけで、大規模な開発期間を必要とせず、業務の一元化と経営管理をスタートできる。もちろん、必要に応じて項目はカスタマイズできます。
freee販売は「始めやすさ、使いやすさ、コストの低さ」が、UI/UXの部分も含めて評価されていると感じています。
―――さまざまな中小企業にとって使いやすそうなサービスですね。その中で特に価値を提供できる顧客像はありますか？
鎌田：プロジェクト型ビジネスの企業様には、特に価値を感じていただけると思います。具体的には、制作会社、コンサルティング会社、システム開発会社、広告代理店などの無形商材を扱う企業様や、有形商材であっても受注生産型など、受注を起点にしたビジネスモデルの企業様には弊社のプロダクト群が最適です。
―――その理由を詳しく教えてください。
鎌田：プロジェクト型ビジネスの課題は、原価の大部分が人件費や工数で、その管理が難しいという点です。freeeの場合は、そこに特化した業務ツールも提供しています。
たとえば、「freee工数管理」を連携させれば、Googleカレンダーの情報などと連携しながら、リアルタイムで変動する「誰が、どのプロジェクトに、何時間使ったか」という工数データを、自動でプロジェクトの原価に紐付けることができます。
これまでは、そうしたコストは部門共通のコストとして横断的に扱われ、部門配賦も難しく、「結局、正確な原価、利益が見えない」というお客様がほとんどでした。freeeのプロダクトを使えば、プロジェクトという最小単位で、工数や経費も正確に管理できるようになります。
―――freeeの製品を組み合わせて使うと、より効果を発揮するんですね。
渡邊：そうですね。たとえば、工数管理を他社のツールでやられる場合、結局、月末にCSVデータを出力・加工して、freee販売にインポートして……といった手間が必ず発生します。
我々が問題視しているのは、この「業務の切れ目」です。業務の切れ目があればあるほど、その「データをつなぐ手間」を誰かが負担しなければならなくなります。
インプットする人、つなげる人、アウトプットを見る人がバラバラになってしまうと、数字は分断され、「この数字は本当に合っている？」といった確認作業が発生し、リアルタイム性も失われます。
freeeは各プロダクトがネイティブに連携されるので、インプットされた瞬間に各プロダクトの数字が更新されます。だから「いつ、誰が、どの情報」を見ても、正しい最新の情報にたどり着けます。これがfreeeの統合型経営プラットフォームとしての強みです。
―――プロジェクト型ビジネスで赤字プロジェクトを抱えることは、実際どのような影響があるのでしょうか？
鎌田：弊社の独自リサーチでは、プロジェクト型ビジネスを行う企業様の75%が1年以内に赤字プロジェクトを抱えていたという結果※があります。さらに、赤字プロジェクトが及ぼす損失は年間で2,000万円超にのぼるというデータ※も出ています。
そのため、会社全体は黒字でも、一部の不採算プロジェクトが全体の利益を蝕んでいた。そういった構造的な課題が、多くの企業様で常態化しているだろう、ということが見えてきました。
※出典：「【情熱黒字化プロジェクト】freee販売でプロジェクト別収支管理」（2025年11月27日閲覧）
―――かなりの額ですね。なぜそのような問題が起きてしまうのでしょうか？
渡邊：たとえばWeb制作業界で、あるプロジェクトを100万円で受注して、受注側は「工数は80万円くらいだろうから、20万円は利益が出る」と想定したとします。ところが、納品した後に「やっぱりこうして欲しい」と修正依頼が殺到し、想定した工数を大幅に超えてしまう。でも、トップラインである受注金額（100万円）は変えられないといったケースが多いですね。
さらに、Web制作業界の多くは下請け構造にあるため、トップラインの交渉余地がもともとないケースも少なくありません。その中で、プロジェクト別の工数原価をしっかり管理できていないと、交渉のテーブルにすらつけないこともあると聞きます。
他にも、商慣習的に「昔からこうだから」と、前例踏襲で運用してしまっているケースもあります。特に制作系の会社ではクリエイティブ気質の方が多く、「良いものを作るのに、工数管理なんて必要ない」というマインドが根強い側面もあります。
しかし、それでは業績が悪化するばかりで、クリエイティビティを維持することはいずれ困難になります。「管理をすることで、クリエイティビティ自体を守る」という経営思想を定義していくべきタイミングが来ていると考えています。
―――プロジェクト別収支管理において、企業が取るべき姿勢や行動はありますか？
鎌田：やはり「工数はコストである」という意識の醸成と徹底が重要だと思います。多くの会社は、作業記録は取っていても、その「作業時間に紐づく金額＝コスト」までを把握しているところは多くありません。これは、「いいものを作りたい」という情熱や熱意は先行している一方で、作業時間＝コストという認識が組織全体に浸透していないことの表れだと感じています。
実際に弊社のプロダクトを導入いただいた制作会社の経営者様は「創造性と利益は相反しないという前提を強くもち、それを経営者が強い意思で現場に落としていくことが重要」とおっしゃっていました。
「数字で管理されると、クリエイティブの裁量がなくなるんじゃないか」といった危惧を、経営者も現場のクリエイターも持ちがちです。ですが、むしろ収支を可視化して非効率をなくすからこそクリエイティブの余白が生まれる、という考え方もあるはずです。
クリエイターは、「自分は事業にちゃんと利益で貢献できている」という意識をもつことで、萎縮をすることなく、堂々と業務に専念できる。こういうポジティブな循環を作っていくための経営体質こそが、ツール以上に重要だと思いますね。
―――これまで、freee販売やfreeeのプラットフォームを利用された方で、印象的な導入事例などはありますか？
鎌田：CGを使った不動産コンテンツなどを手がける株式会社アクティブリテック様は、まさにfreee会計からfreee工数、freee販売まで使っていただいているお客様です。
freeeを導入する前はプロジェクト管理ツール、工数管理ツール、会計ツールと、バラバラのツールで管理していました。結局データが散在するので、収支悪化による経営会議があっても、「どのプロジェクトが赤字なのか」「プロジェクトの赤字は何が原因なのか」といった見えない赤字の原因究明が困難だったそうです。
freeeプラットフォームを導入いただき、プロジェクト・工数・会計データを一元化したことで、「プロジェクト別の収支を5分で可視化できるようになった。会議ではデータをもとに赤字や低収益の原因を特定し、その場で改善策を議論するスタイルが定着したことで、売上高140%超を実現しました」と嬉しい報告をいただいております。
―――間接的に売上アップにも貢献されたんですね。
鎌田：別の映像制作を手がけているお客様からは、「予算の使途や動きが可視化されることで、支出について社内への説明責任が生まれ、結果的に予算管理の意識向上に繋がる」とおっしゃっていただきました。
渡邊：その企業では、プロジェクトオーナーが、高騰してしまったいちプロジェクトの原価を、良かれと思って自身が抱えている他のプロジェクトに付け替え、すべて黒字のプロジェクトとして報告していた過去もあったそうですが、今ではfreee販売が内部統制としての役割を担っているとうかがっています。
―――コスト意識の向上や内部統制としての役割も果たしているんですね。
渡邊：他にも、そもそも価格に正解がない世の中に新しい商品を展開するお客様においても、freee販売を導入して収支が正しく把握できるようになったことで、「適切な価格戦略を立てられるようになった」というお声をいただきました。
正しい値付けができるようになる。取引先にその説明を求められても理論的に説明できるようになる。これも、プロジェクト別に収支が見えることの本質的な価値だと思います。
―――最後に、販売管理に悩みを抱える企業に向けてメッセージをください。
鎌田：プロジェクト型ビジネスをやられている企業様で「現場の情熱が利益に変えられていない」「どんぶり勘定から抜け出したい」などの悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度お話をさせてください。弊社はそうしたお悩みをもつ企業様を救いたいという思いでfreee販売を開発しました。
単なる業務効率化やツール提供といったことではなく、「利益体質への変革」といった経営のパートナーとして、そのビジネスをサポートさせていただきたい、というのが我々のスタンスです。
弊社は今、「情熱黒字化プロジェクト」と銘打って 、プロジェクト型ビジネスの企業様の見えない赤字の脱却をテーマにしています。「情熱はある。クリエイティビティもある。でも、それが事業の成長につながっていない」──そんなスモールビジネスの情熱を、テクノロジーの力で、正しく黒字に転換する。我々にその「伴走」をさせてください。
収支管理に課題意識をお持ちでしたら、まずは一度ざっくばらんにご相談させてください。
freee販売 – フリー株式会社
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