
韓国の浦項工科大学校(POSTECH)は、研究者らが、電気自動車のバッテリー容量を変えずにほぼ2倍の航続距離を実現するアノードフリーリチウム金属電池を開発したと発表した。研究成果は学術誌Advanced Materialsに掲載された。
POSTECH化学科(Department of Chemistry)のパク・ソジン(Soojin Park)教授とハン・ドンヨプ(Dong-Yeob Han)博士率いる研究チームは韓国科学技術院(KAIST)と慶尚大学校(Gyeongsang National University)の研究者と共に、アノードフリーリチウム金属電池で、体積エネルギー密度1270Wh/Lを達成した。この値は、現在の電気自動車に使われているリチウムイオンバッテリー(約650Wh/L)のほぼ2倍に相当する。
アノードフリーリチウム金属電池は従来の陽極を排除した電池である。この電池のカソード(負極)に蓄えられたリチウムイオンは充電中に移動し、銅の電流コレクターに直接沈着する。しかしながらこの設計には課題があり、リチウムが不均一に沈着すると、樹状突起と呼ばれる鋭い針状構造が形成され、ショートや潜在的な安全上の危険が高まる。また繰り返しの充電や放電はリチウム表面を損傷し、バッテリーの寿命を急速に短縮させる。
研究チームはこれらの問題に対処するため、可逆性ホスト(RH)と設計電解質(DEL)を組み合わせた戦略に着目した。RHは均一に分散した銀(Ag)ナノ粒子を埋め込んだポリマー骨格で構成され、リチウムをランダムではなく指定された位置に沈着するよう誘導する。DELはリチウム表面にLi2OとLi3Nからなる薄く強固な保護層を形成することで安定性を高める。この層は樹状突起の成長を防ぎ、リチウムイオン輸送のための開かれた経路を維持する。このRH-DELシステムは卓越した電池性能を発揮した。
同教授は、「この研究は、アノードフリーリチウム金属電池の効率と寿命の問題を同時に解決した意義深いブレークスルーです」と研究の意義を強調した。
(出典:POSTECH)
(2025年12月19日付発表)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部
発表論文: Han et al. (2025) Synergistic Coupling of Host and Electrolyte Achieving 1270 Wh L−1 in Anode-Free Lithium Metal Batteries
参考サイト(外部サイト):
● 浦項工科大学校(POSTECH)
https://www.postech.ac.kr/eng/research/research_results.do?mode=view&articleNo=43617
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