ASPIREイベント開催報告 ~エネルギー分野キックオフ・年次報告会~ – jst.go.jp



先端国際共同研究推進事業
https://www.jst.go.jp/aspire/
国際部先端国際共同研究推進事業(ASPIRE)では、令和7年度に採択されたエネルギー分野2課題のキックオフ・ミーティングおよび既存の採択課題の年次報告会を、令和8年1月28日(水)にJST東京本部別館にて対面方式で開催しました。
支援課題情報:https://www.jst.go.jp/aspire/program/assignment/index.html
ASPIRE運営統括の宮野健次郎先生および国際部先端国際共同研究推進室の荒川室長による開会挨拶から始まり、令和7年度の「次世代のためのASPIRE」に採択された2課題(多々良課題、轟課題)から、国際共同研究計画の概要と若手研究者を中心に展開する研究交流の構想についてプレゼンが行われました。続けて令和5年度採択の6課題、および令和6年度採択の5課題をお昼の休憩時間を挟んで進行し、最後の1時間はフロア全体での意見交換会を行いました。
キックオフのパートでは、令和7年12月に研究開始したPIによる、ASPIREならではの意欲的な研究交流のプランが提示され、既にASPIREで活躍中のPIやアドバイザーから意見が寄せられました。一方、令和5年度および令和6年度採択課題の発表では、PIによる年次報告に加え、ASPIREでの海外渡航を経験した若手研究者や現在、日本側に招へい中の海外研究者によるプレゼンもあり、研究交流での “現場”の視点を、会場内で共有する機会となりました。情報の少ない渡航手続きを忍耐強くクリアした話や渡航後の居住地の問題、さらに徹底した時間管理のもとでの実験計画など、日本の研究室とは異なる運営ルールの下での研究スタイルの報告もありました。
加えてPIからは、海外の研究者に向けた戦略とその効果についての話題も提供されました。研究室ウェブサイトを英文で製作したところ、欧米の研究者からコンタクトが入り、後日研究室への招へいにつながった事例や大使館からASPIREに参加する方法について問い合わせを受けた経験など、他の課題にも参考となる試みが披露されました。
そして意見交換会では、令和5年度および令和6年度採択課題のPIより、ASPIREにおける成果や、課題遂行で表面化した問題およびその対応についてのショートプレゼンを行い、その後はフロア全体でのディスカッションを行いました。長期渡航に必要なビザ取得や滞在先確保の問題、インフレ&円安での滞在費用上昇など、人材交流・国際頭脳循環を趣旨としたASPIREならではの切実な問題もありますが、海外の研究室で実験をした大学院生らが帰国し、その姿を見た後輩たちが海外のラボへ志願するという力強い循環がASPIREに参画した研究室で生まれています。また博士課程進学者数に関しては昨年1月に開催した意見交換会でも進学者数増加の報告がありましたが、この傾向は他の課題にも確認されており、若手研究者の母集団の活性化という効果が共有されました。
この意見交換会では、ASPIREの最良の成果についても問われていたのですが、「信頼の獲得」についての意見も挙がりました。若手研究者が渡航先で成果を上げることを通して相互の貢献を印象づけ、個人レベルと組織レベルでこの信頼関係を積み重ねた先に、研究としての将来性が見えてくること、という見解です。渡航者の報告でも渡航先でのメンター研究者が丁寧に対応してくれ、相互のインタラクションを重視していたとの感想がありました。ASPIREの研究交流は国際共著論文や博士課程進学者数の増加という定量的な成果にとどまらず、上記のような経験を通して研究者間ネットワークが構築されると、活字化されていない情報にもアクセス可能になるという指摘もありました。
最後に、報告会はエネルギー分野の研究主幹、菅野了次先生から総評をいただき終了しました。続けて同じ会場で懇親会を開催し、PIやADをはじめ参加者の方々が短い時間でしたが歓談する場となりました。ご多忙にも関わらず対面開催の会議に参加し、キックオフおよび年次報告会の場を盛り上げてくださった宮野運営統括、菅野研究主幹をはじめアドバイザーの先生方そして研究代表者の先生方へ改めてお礼申し上げます。
ASPIREのエネルギー分野では、今回のキックオフ・年次報告会で得られた知見を踏まえて、トップ、次世代間の効果的な交流による研究課題の推進を進めて参ります。
文:国際部 先端国際共同研究推進室 根岸、古賀
掲載日:2026年02月10日

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