「生命が震えるビジネスをしなさい」——カクシン田尻望の心の師、世界的ジュエリーコレクター有川一三の教え – Forbes JAPAN

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2026.02.20 20:00
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優れた経営者には師がいるものだ。企業の高収益化や構造改革を次々と成功に導いてきたカクシンCEO・田尻望の場合は、宝石・ジュエリーの世界的権威、有川一三。カクシンの理念「感動こそ価値の源泉」——その教えを授けたのが有川一三だ。田尻は有川から、何を学び、受け継いだのか。カクシンの“核”をめぐる師弟対談。


田尻 望(以下、田尻) 今日は改めて、僕と有川一三先生の関係を“原点”から整理させてください。読者からすると、ビジネスコンサルタントの私が、宝飾芸術の世界で活躍されてきた先生と出会っていること自体が、かなり意外だと思うのですね。
僕が先生に初めてお目にかかったのは、2012年頃でしたね。覚えていらっしゃいますか。
有川一三(以下、有川) 覚えていますよ。正直に言うと、その頃の田尻さんは、今の姿からは想像がつかないくらい、心配な感じがあって、迷える子羊でした。ただ、第一印象は悪くなかった。「あ、いい人だな」って。人相が悪かったら相手にしないですからね(笑)。底抜けの人柄の良さを感じました。

田尻 ありがとうございます(笑)

有川一三は1985年にアルビオン・アート・ジュエリー・インスティテュートを設立。ファイン&アンティークジュエリーや宝石、美術品の輸入販売に加えて、美術館展の企画や出品協力も手がけてきた。その所蔵品は2,300年前のアレキサンダー大王時代の極めて精緻なジュエリー、ヘレニズム期から19世紀まで180点以上に及ぶティアラのコレクションなど、世界各国の国立美術館が所蔵を渇望するような人類の至宝ばかり。フランス政府からフランス芸術文化勲章シュヴァリエを授与され、メトロポリタン美術館では唯一の日本人として国際評議会会員を務める、宝飾芸術の世界的権威だ。

有川一三は1985年にアルビオン・アート・ジュエリー・インスティテュートを設立。ファイン&アンティークジュエリーや宝石、美術品の輸入販売に加えて、美術館展の企画や出品協力も手がけてきた。その所蔵品は2,300年前のアレキサンダー大王時代の極めて精緻なジュエリー、ヘレニズム期から19世紀まで180点以上に及ぶティアラのコレクションなど、世界各国の国立美術館が所蔵を渇望するような人類の至宝ばかり。フランス政府からフランス芸術文化勲章シュヴァリエを授与され、メトロポリタン美術館では唯一の日本人として国際評議会会員を務める、宝飾芸術の世界的権威だ。
田尻 お会いした日は、中国の講演家の方が来日されていたイベントでしたね。先生が紹介されて壇上に上がられた。姿を捉えた瞬間、正直、講演家の方よりも“異質なオーラ”をまとっていらっしゃった。僕はそれで、もう心を掴まれてしまって。その場でお話を聞きに行き、懇親会でもお声がけして、帰り際にもまた話しかけて。
当時の僕は金融の領域にいましたが、資本主義やお金のことに違和感と関心があって、先生のところに“押しかけた”のが始まりです。
有川 一期一会ですから。かつて仏教の修行をするなかでお師匠様から「英知は謹んで受け取っていただくもの」と教わったので、田尻さんの魂にも火を点す覚悟で向き合いました。
田尻 その頃の私は事業がうまくいっていないのに、うまくいっているふりをするプライドだけがあった。そんななか、先生に相談しに行ったら——怒られましたよね。「大阪大学を出たやつで、こんなに無知なやつははじめて見た」と。
有川 近いことは言った記憶がありますね。
田尻 あの叱咤激励こそが私の原点です。先生はそこで一冊の本も紹介してくださった。『歎異抄』ですね。当時の僕は「自力で何でもできる」と勘違いしていた。自力で頑張ってもどうにもならないことがあり、大いなる存在に身を委ねる「他力」の真理を説いた書でした。読みながら、ボロ泣きしたのを今でも覚えています。あれは人生で初めての感覚でしたね。
有川 『歎異抄』は、本当に苦しんで、逃げ場がないような状況にいないと、その真意は入ってこないものですよ。

「感動は生命の震えである」

田尻 ここから、今日の中心テーマに入らせてください。僕が「感動こそ価値の源泉」という考え方をカクシンの理念として掲げているのは、先生から授かったものです。先生ご自身の言葉で言うと、どんな“教え”が核にあるのでしょうか。
有川 一番大事なのは「真理」です。私は作品を見るとき、表面ではなくて、その奥にある真理を感じながら見ます。その作品がどれほど美しいか?その作品にどれほど感動するか?それが全てです。感動というのは、人の生命が震えることです。いくら価値がありますよ、いくらで売れますよ、ではない。私自身の生命が震えるかどうかが基準です。そして私は自分の命が震えたものを皆さんとシェアする。感動をシェアする、美をシェアする。それしかしてきていませんからね。
18歳の頃、数学者の岡潔先生にお会いしました。世界中の数学者が誰も手に負えなかった三つの大問題を一人で解かれた大家でいらっしゃる岡先生は、「真理はまず感動として現れ、その後に言葉や理論が追いつく」と言っておられた。
田尻 18歳でその言葉を聞かれて、どう感じられましたか?
有川 正直、最初は意味がわからなかった。でも宝石の世界に入って、ある作品の前で動けなくなった瞬間があった。言葉より先に体が反応した。理論は後からついてきた。岡先生の言葉が何十年も経って、やっと腑に落ちたのです。
田尻 岡先生のお話を聞いて、私はフェルマーの最終定理を思い出しました。数百年間、誰も解けなかった難問に、なぜ数学者たちは向き合い続けたのか。それは、「その数式が美しかったから」と言われています。美しいから、この数式は合っているはずだと信じられた。
有川 そうです。数学の真理も、芸術も、文化も、すべては感動から生まれます。イエス・キリストやブッダの存在も、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品も、そのものに感動したからこそ、皆がそこに真理を見たのです。人間にとって、いちばん大事なことは生命であり、その次に大事なのが「その生命が震えて生きること」なのだと思います。
田尻 感動は“概念”じゃなくて体感覚なんだ——僕が先生から受け取ったのは、まさにそこでした。
田尻 先生は仏門でのご経験もお持ちですよね。その思想の根源を、改めて伺わせてください。
有川 簡単に言えば、私の人生の大半は困難の連続でした。ジュエリーは西洋のフィールドのものです。貴族もいるし、世界のディーラーやブランドもいる。その中で、九州から、お金も名声も何もない状態でビジネスを始めた。
20代のころに、仏教修行をしていたのです。そこで、真理とは何か、美はどこから来るのかと探求した。そして仏典には「極楽浄土は宝石でできている」と書かれていました。宝石は精神の結晶、心の美の象徴なんじゃないか。そういう感覚が入ってきた。
それから39歳のときに、天命が降りて来ました。「聖なる美と感動を創造する」。それをジュエリーというフィールドでやり、千年残す。エベレスト冬季無酸素単独登頂みたいなことですよ。できるはずがないことに聞こえるかもしれない。でも当時、誰もそういう思想は持っていなかった。ジュエリーを“女性の装飾品”としてしか捉えていない世界に対して、私は作品に触れて、生命が震え、「これこそ精神文化だ」と体験的に理解できた。私は、世界一になれると思った。誰もやってないから。

有川は39歳のとき、こう書き記している。

「人生において偉大なる達成を果たさんとすれば、その鍵は『志』にある。志は人に優先し、物に優先し、金に優先し、場所に優先し、時に優先し、運に優先する。そしてその志が高く、深く、強く純なるときは、それが大いなる磁場をつくり、それらの全ての要素を引き寄せて結晶し、偉大なる達成を果たすのである。故に志は真に天の神々が天上にて感嘆絶賛するものでなくてはならぬ」

有川一三による直筆のメッセージ
有川一三による直筆のメッセージ

有川は39歳のとき、こう書き記している。
「人生において偉大なる達成を果たさんとすれば、その鍵は『志』にある。志は人に優先し、物に優先し、金に優先し、場所に優先し、時に優先し、運に優先する。そしてその志が高く、深く、強く純なるときは、それが大いなる磁場をつくり、それらの全ての要素を引き寄せて結晶し、偉大なる達成を果たすのである。故に志は真に天の神々が天上にて感嘆絶賛するものでなくてはならぬ」
田尻 この言葉は、先生から直接いただきました。もうひとつ、「断突ぶっちぎり世界一が最低条件」という言葉も心に刺さっています。世界一が目標ではなく、“必要条件”となっていますね。
有川 千年続く感動を人類に残すことが私の使命ですから。そう考えると世界一というのは単なる過程ですよ。
田尻 僕はその言葉を、最初は受け止めきれませんでした。「できるわけない」と。でもある時、気づいたんです。全世界で世界一は無理でも、目の前の人にとって“世界一”にはなれる。「このお客様にとって、世界一わかってくれている存在」になる。そこから地域へ、日本へ、世界へと広がっていけばいい。
有川 付加価値の概念が、そもそも違っているのですよね。現代の付加価値は「原価があって、いくらで売れるか、その差額」になりがち。でも昔は違った。王冠を作るような時代、最上の人たちが“うわぁ素晴らしい”と感動するものを作る必然があったわけです。その感動の創造こそが付加価値だった。利益の創造が付加価値ではなかった。そこが違っていますよ。そして目標は、その本質的価値が高いほど、大きいほど実現できる確率は高まると思います。究極をめざすこと、それが大切です。
田尻 なぜ今、私たちの生活や仕事に「美」が必要なのかが見えてきますよね。AIが進んで、個人最適化やエージェント化が進むほど効率は強まるけれど、買い手の“感動”は置き去りになりやすい。だからこそ今、生命の震え、つまりは価値の源泉に戻る必要があるように思うのです。
有川 美は、真理に近い。美しいものは、深いところで正しい。これからの時代、正しいものが何か分からなくなる。AIによるフェイクも増えるでしょう。だから最後は「自分の生命が震えるかどうか」でジャッジするしかない。自分の仕事が正しいかどうかも、自分がその仕事に感動できるかで見る。ロジックだけで結論を出すと、命が入っていないから、とんでもない結論に行くことがある。でも生命が震えるかどうかをみながら進めば安全性は高い。
田尻 AIで効率化は進めればいい。問題は、できた時間を何に使うか。家に帰って奥さんと話す。実家に帰って祖父母と話す。友人と話す。お客様と話す。困っている人のところへ行く。困りごとの解決こそ、ビジネスが向き合うべき価値の源泉ですよね。
最後に伺います。合理性や効率が重視される現代のビジネスにおいて、あえて「美」や「感動」を捉え直すことは、リーダーにどんな変容をもたらすとお考えですか?
有川 変容というより、「本来の人間に戻る」感覚があると思いますよ。自分の生命が震える基準を持つと、判断が変わる。言い訳が減る。中途半端ができなくなる。そして、仕事が“誇り”に変わる。感動こそが全ての創造の鍵であり、生きる喜びそのものなのです。
田尻 人間性の回復のようなお話ですね。ビジネスの現場で、その商品が、そのサービスが、お客様の生命を震わせるのか。そして何より、それを提供する自分自身の生命が震えているのか。営業、マーケティング、製造といった、後から理屈で分けたカテゴリの中で思考するのとは、次元が異なる見方のように思える。
有川 カテゴリ分けそのものが悪いわけではありませんが、本物の美に触れ、自分の生命が震える体験をする。その原体験があってはじめて、人は他者の生命を震わせる「価値」をつくれるようになる。
私は今、美術館や私塾の設立を構想していますが、そこでは、スキルの前に「美とは何か」「命の震えとは何か」を問い直す場にしたいですね。田尻さんがビジネスの世界で「価値主義」を広めているように、文化と精神性の側面から人間性の回復を支援したいと考えています。
田尻 僕は先生に出会って、「感動」をビジネスの中心に置くことで、商談の場すら変わる体験をしてきました。最初暗かった場が、帰る時には「わはは」と笑いが飛び交うようになっている。お客様と一緒に、未来にワクワクできる。合理性だけでは届かない場所がある。先生の言う“美と感動”に触れることで、リーダーは外側に正解を求めるのではなく、内側の確信から動けるようになると、僕はそう信じています。
有川 自分の考えを吸収し発展させてくれる田尻さんのような存在がいることで「もっと頑張らねば」と背筋が伸びますね。私もいまだに毎日が修行ですよ。自分自身の生命が震える仕事をする。千年残る感動のために。
随分昔のことですが、「昇龍宝珠を抱く」という言葉を禅の師から頂きました。地底で臥す龍は光り輝く珠(天命)を掴むと、雲を呼び雷鳴豪雨の中で天に昇ってゆき、己の天命を実現するという意味です。
田尻さんは天命を既に得て天に昇り始めています。この志をさらに磨き深めて、”断突ブッチギリ世界一のコンサルタント“として大成されることを心よりお祈りしています。
“発心すれば即ち生ず”目指せば必ず実現します。

カクシン
https://kakushin.biz/


ありかわ・かずみ◎アルビオンアート代表取締役、アルビオン・アート・ジュエリー・インスティテュート主宰。1977年に早稲田大学政治経済学部を卒業後、85年にアルビオンアートを設立。世界的な宝飾芸術のコレクター、研究家として知られ、国内外の美術館で開催される展覧会の企画や出品協力を数多く手がける。2005年から17年まで東京藝術大学で非常勤講師(西洋宝飾史)を務めた。2009年にフランス政府より芸術文化勲章シュヴァリエを受章。19年よりニューヨーク・メトロポリタン美術館国際評議会会員。著書に『聖なる宝飾美術 永遠なる美を求めて』(世界文化社)。
たじり・のぞむ◎カクシン 代表取締役CEO。2008年に大阪大学卒業後、キーエンス入社。コンサルティングエンジニアとして重要顧客を担当し、大手システム会社の業務システム構築支援をはじめ、年30社に及ぶシステム制作サポートを手がける。独立後はカクシンを立ち上げ、年商1,000万円から1兆円規模の企業まで、企業の高収益化、構造改革のコンサルティングを行う。著書に『付加価値のつくりかた』(かんき出版)、『構造が成果を創る』(中央経済社)など。
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