
Plaud製品を使うのは、実はこれで3台目です。新鮮な驚きというよりも、「ああ、やっぱりこうだよね」と改めて体感する感覚に近いものがあります。いい意味での安心感と、ちゃんと進化しているなという実感が混在しています。
最近、AIを搭載した録音デバイスやイヤホン型ノートテイカーが次々と登場していますよね。私自身、他社のAIイヤホンを購入したこともあれば、レビュー依頼を受けたこともあります。この手のプロダクトの使い勝手については、ある程度わかっているつもりです。
そして率直に言えば、ハードウェアでの差別化は年々難しくなっています。マイクの集音距離、発話者の識別精度、バッテリー駆動時間。各社のスペックシートを並べても、正直そこまで大きな差はありません。ソフトウェア側で差をつけようにも、バックエンドで使っているLLMもOpenAI、GoogleのGemini、Claudeと各社で被ってきます。
そんな中で、Plaudから最新モデル「Plaud NotePin S」の提供をいただきました。PRですが忖度抜きでレビューしております。前モデル(NotePin無印と呼ぶべきか)でちょっとした「事件」があったので、今回はリベンジの気持ちも込めて、届いた翌日の中国工場打ち合わせにいきなり実戦投入してみました。
先に、旧モデル(NotePin無印)での苦い体験を正直にお話しさせてください。
旧モデルは感圧式で物理ボタンがありませんでした。本体を指で押し込むような操作で録音を開始するのですが、実はこれが曲者。押したつもりが押せていないことがあります。その逆もしかり。触覚フィードバックが曖昧なので、「今、録音されてるの? されてないの?」という不安が常につきまといました。
そして案の定、大事な打ち合わせで「押したつもりが録音開始されていなかった」という事態が発生。会議の内容が丸ごと消えたわけです。あの時のショックは、保存し忘れたExcelファイルを閉じてしまった時の絶望感に匹敵します。いや、それ以上かもしれません。
今回のNotePin Sでは、明確なクリック感のある物理ボタンが搭載されています。長押しで録音開始、短押しでハイライト。「カチッ」という触覚フィードバックが確実にあるので、録音が始まったかどうかで悩むことがなくなりました。
そしてこのボタン、押した瞬間がちょっと気持ちいいんですよね。中国で最近流行っている「减压」(ストレス発散グッズ)に通じるものがあります。プチプチを潰す感覚に近いと言えば伝わるでしょうか。会議前にカチッと押すと、「よし、始めるぞ」というスイッチが入る感覚があります。デュエルスタンバイです。
地味な改善に見えるかもしれませんが、これこそがユーザーの声を反映したインダストリアルデザインだと思います。録音デバイスにとって「確実に録音が始まる」ことほど重要な機能はないわけで、ここに対するID設計をきちんとやってきたこの会社には、拍手喝采をお送りしたいですね。
先日、届いたばかりのNotePin Sを持って中国工場の打ち合わせへ。今回はネックレス型のランヤードで首からかけるスタイルにチャレンジしてみました。胸張ってます。
NotePin Sには、マグネットピン、クリップ、ランヤード(ネックストラップ)、リストバンドの4種類のアクセサリーが同梱されているので、シーンに合わせて使い分けられます。
物理ボタンを長押し。カチッ。録音開始。この安心感は旧モデルにはなかったものです。
打ち合わせは約1時間半。話題は多岐にわたりましたが、すべてしっかりカバーできていました(張り切って使いにきたものの見せれない情報ばかりになりました)
ここで特に便利だと感じたのが、録音中にスマホと連動して写真を撮れる機能です。何時何分にどんな話をしていたかが、文字起こし・タイムスタンプ・その場の風景写真をセットで残せます。
たとえば工場のラインを見ながら仕様の話をしている時にサッと写真を撮れば、「この写真の時点でこの会話をしていた」と紐づけて振り返れるわけです。非常に便利な機能だと思いました。記憶とは文字だけではなく五感を使って覚えるのだ、という楽しい楽しい受験勉強を思い出しましたよ。
ただし、Plaudの思想としては「会話に集中すること」に重きを置いています。それ自体は素晴らしいのですが、だからこそ会話に没頭してしまうと、いくつか忘れてしまうことがあります。
まず、写真を撮り忘れます。白熱した議論の最中にスマホを取り出して写真を撮る余裕は、正直ないこともあります。私のようなシングルタスク人間にはなかなか難しいんですよね。マルチタスクが得意な方にとっては使い勝手が良いと思いますが、ここは使い手のワークスタイルや脳みその構造によって評価が分かれるところでしょう。
そしてもう一つ、地味に困るのが、会話が終わった後に録音停止ボタンを押し忘れること。以前30分のミーティングなのに気づいたら2時間以上つけっぱなしだった、ということが実際にありました。沈黙や場面の切り替わりを自動で識別して停止してくれる機能は、技術的には難しいと思います。でも、いつか改善されたら嬉しいなと。まあ「忘れるなよ」という話ではあるんですけどね。ADHDの宿命でございます。
私は深センに住んで7年目になりますが、中国語での商談も日常的にこなしています。ただ、正直なところネイティブスピーカーではないので中国語をすべて聞き取れるわけではないですし、長時間の打ち合わせでは集中力が切れて頭に入ってこないこともあります。
さらに厄介なのが、中国語でメモを取ること自体の難易度です。手書きでもタイピングでも、メモに意識が向いた瞬間に会話への集中力が途切れてしまう。ひどい時は会話自体が成り立たなくなることすらあります。
NotePin Sがあれば、とにかく会話に全集中できます。自分のアウトプットに集中し、相手からもアウトプットを引き出す。その結果として、AIが生成する議事録の質も上がります。入力の質が高ければ、出力の質も高くなる。シンプルな話です。
Plaudの文字起こしは112言語に対応しており、話者分離(スピーカーラベル)も付きます。中国語と日本語が混在する会議でも、誰が何を言ったかが整理されます。日中ビジネスの現場では、これが地味に大きいです。
録音中にボタンを短押しすると、その瞬間が「ハイライト」としてマークされます。AIはハイライト箇所を起点に要点を整理してくれるので、「ここが大事だよ」と人間がリアルタイムでAIに伝えることができる仕組みです。
単なる録音機から、人間とAIがリアルタイムで協働するデバイスへ。Plaudはこれを「Human-AI Alignment」と呼んでいますが、まさにそのコンセプトが形になった機能だと思います。
Ask Plaudは、録音データに対して自由に質問できるAIアシスタントです。複数のファイルを横断検索でき、回答は元の音声タイムスタンプに紐付いています。つまり、AIの回答を原音で検証できる。ハルシネーションを自分の耳で確認できるのは、信頼性の面で大きいです。
「先方が言っていた納期とロット数の条件は?」と聞けば、該当箇所をピンポイントで特定してくれます。工場視察後のレポート作成が格段に楽になりますね。
そして今回特に面白いと感じたのが、Ask Plaud内の「インフォグラフィック」機能です。会議内容から自動で図解画像を生成してくれます。議事録のテキストだけでは伝わりにくい構造やロジックを、ビジュアルとして具現化してくれる。
頭の中のぼんやりしたイメージが「ああ、こういうことだったのか」と形になる感覚は、なかなか新鮮でした。チーム共有やクライアント報告にもそのまま活用できるので、実用性も高いです。
イヤホンを使ったWeb会議の録音・AI活用に対応したデスクトップ版アプリ「Plaud Desktop」も正式リリースされています。
私は中国人パートナーとのWeChat通話で実際に使ってみましたが、これが非常に快適でした。MacのメニューバーにPlaudのアイコンが常駐していて、そこで録音ボタンを押すだけ。PCやモニター上にボタンが常に表示されているので、メモを取りながらでも録音状態を確認できます。
NotePin S本体だと「あれ、まだ録音してたっけ?」と不安になることがありますが、Desktop版はボタンが常に目に入るので、停止し忘れの心配がありません。私のような人間でも安心して使えます。
ミーティングBotを入れる必要もないので、相手に余計な通知が飛ぶこともありません。Zoom開いた時に相手がNottaを同席させている時は私はどきっとしますからね。対面もオンラインも一つのエコシステムで管理できるのは、日中間でやり取りが多い私のような立場にはありがたいですね。
これまで有料プラン限定だったAI機能が、現在はすべて無料で利用できるようになっています。月300分(5時間)の文字起こしが無料枠として付いてきます。
実際に録音して議事録を生成し、そこからアプリ内のAI機能をいろいろ触ってみて、改めて感じたことがあります。
最近は、議事録を作成すること自体のハードルがかなり下がりましたよね。以前は「議事録係」という役割があって、それでも会議の全容を記録するのは物理的に難しかったわけです。耳で聞いたことをそのまま打ち込むパターンもあれば、耳で聞いて、咀嚼して、客観的に記録を残していく言わば記録マシーン人間となることもあったものの、それが今や、あまり手を動かさなくても詳細な議事録が作れてしまいます。
つまり、議事録を作ること自体の価値は、このAI時代においてはもうそこまでないのではないかと。そしてこの流れは今後さらに加速していくでしょう。「議事録を作る人に人件費を払う必要はあるのか?」という空気は、おそらくすでに広がりつつあります。
では、何に価値があるのか。
議事録を作って終わり、提出して終わりではなく、その先にあるものだと思います。会話の内容を深掘りして新しい気づきを得る。未来を予測する。ユーザーのデプスインタビューであれば、発言の背後にある意図や本音まで掴みにいく。ネクストアクションを決める。リスクを事前に回避する。議事録はゴールではなくて、そこから先のアウトプットを生み出すための入り口なんですよね。
そういった意味では、Plaudは「生成してからさらに深掘りする」部分が非常に使いやすく設計されています。しかもAsk Plaudは録音データそのものから情報を拾ってくるので、一般的なLLMに比べてハルシネーションが少ない。ここは実際に使ってみて強く感じたポイントです。
もちろん、Appleの録音機能で音声を文字起こしして、それをコピペしてChatGPTやClaudeで議事録を生成すること自体はできます。私も試しにやったことがあります。それなりのものはできますが、正直手間がかかります。このAIエージェント時代において、「ちょっとした手間」は1〜2回なら許容できても、毎回やっていると膨大な時間になります。本来かける必要がないところに時間を使ってしまう、という本末転倒な状態にも陥りかねません。
であれば、月1,500円とか3,000円ちょっとを支払って、その手間を省くことで、人間としてバリューを発揮すべきところに集中できるようになる。それって十分にペイする投資だと思いませんか。わずか六本木のカレーランチの値段や鳥貴族で安く済ませたくらいの金額帯です。
ただし一つ釘を刺しておくと、AIが作った議事録をあたかも自分が作りましたという顔で提出するだけの人は、おそらくこれから評価が下がるどころかマイナス評価を受けるでしょう。大事なのは、効率化した時間で何を生み出すかです。
Plaudのようなツールは、時間の効率化とアウトプットの質を高めるための良い武器になりますが、武器を持っているだけでは意味がありません。手持ちの武器の振るい方が問われる時代になっています。
少し先の話をさせてください。今後、Plaudのような製品がどう進化していくのか、正直なところ私には想像がつきません。こと「議事録を生成する」ということに関しては、今いろんなプレイヤーが出している製品で事足りてしまっている感すらあります。
一方で、最近はAIエージェントが登場し、人間の代わりにタスクをこなしてくれるようになってきました。Plaudで生成したデータを、こうしたAIエージェントとシームレスに連動させて深掘りすることになるでしょう。今はその中継プレイをまだ人間がやっていますし、私自身もそうしたこともあります。でも、それすら自動化されていく未来は、そう遠くないのかもしれません。
そうなってくると、AIハードウェアというのは、私たちの物理世界と頭の中をつなぐ媒体になっていきます。身体の機能を拡張するような存在に近づいていくのではないでしょうか。人間の進化はデバイスとAIに起因するということです(記憶力は退化するけど)。
私はハードウェアに非常に興味がある人間で、中国で新しい製品が出ると実際に触りに行ったり、中国語でレビュー記事を読んだりしています。この業界の今後の発展はすごく楽しみですし、私自身もそこにタイムリーにキャッチアップしていきたいものですね。
NotePin Sは、旧モデルから劇的に変わったわけではありません。スペック上の数字(録音時間20時間、ストレージ64GB)はほぼ同等です。
ですが、物理ボタンの搭載、ハイライト機能、アクセサリー4種同梱、AI機能の無料化、Plaud Desktopの登場。これらはどれも、実際に使ってみると確実に体験が改善される変更でした。
そして何よりも、議事録を「作る」ことの先にある深掘りや意思決定の支援。ここにPlaudの本当の価値があると、3台目にして改めて実感しています。
特に私のように日中ビジネスの現場で、中国語の打ち合わせを確実に記録したい、後から深掘りしたいというニーズがある人間にとっては、「会話に集中できる」というPlaudの思想がそのままベネフィットになります。
旧モデルで「録音できてなかった事件」を経験した身としては、物理ボタンの安心感だけでもアップグレードの価値ありです。そこにハイライト機能とインフォグラフィック。会話に集中した上で、録音停止ボタンも忘れないようにさえすれば、心強い相棒になってくれるはずです。
Plaud NotePin Sは、2026年3月23日発売です。つまり昨日からです。しかも、公式サイトにて、Plaud NotePin Sが5%OFFになるクーポンコード配布中です。
【 YSPINS 】
ご購入の際は、上記のサムネイルから商品ページに飛んで、ぜひクーポンコードを使って賢く買い物をしてみてください。
そして一緒にプラウドトークしてみましょう。
※本記事はPlaud社より製品の提供を受けて作成しています。記載内容は筆者の率直な感想に基づいています。
吉川 真人。同志社大学卒業。中国・深セン在住。中国ビジネス/中国テック動向を軸に、現地の一次情報と企業事例をもとに週次ニュースレター『吉川真人の中国ビジネストレンド』を執筆。Xフォロワーは約4万人で、中国在住日本人として最大級の発信規模。noteでも毎日1回、中国テック情報を配信中です。
ワイズイノベーション株式会社にて、代表取締役としてGPU搭載マルチモニター「WiseeCockpit monitor」の企画・プロモーションを推進。あわせて吉川国際貿易諮詢有限公司として、中国現地リサーチ、視察設計、企業ヒアリング支援に加え、OEM/ODMによる商品開発支援も行っています。
元TBS海外特派員。小売・消費、サプライチェーン、AI、ロボット、モビリティ、物流DXなど、実装フェーズの動きを「現場で見える変化」として整理し、経営・事業の意思決定に使える形で届けることを重視しています。i専門職大学の客員教員も担当。
これまで京都の金融機関での社内セミナー、名古屋のファッション専門職大学での講義、ロボスタでの中国最新ヒューマノイドロボット事情、ResponseでのXiaomiとHuaweiの戦略解説、深セン現地テック情報共有会、物流DXセミナーでの中国物流×テック事情など、登壇・講義実績は多数あります。
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