IPBES、「ビジネスと生物多様性評価報告書」の要約公表 企業などへ100以上の行動提示 – 朝日新聞


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生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES=イプベス)は2月9日、企業と生物多様性の関係についての世界の科学的知見をまとめた「ビジネスと生物多様性評価報告書」の政策決定者向け要約(SPM)を公表した。「あらゆる企業は自然に依存し、影響を与え、ポジティブな変化の担い手となりうる」と指摘し、企業のほか政府や金融機関、市民社会などがとるべき100以上の行動例を示した。
IPBESは世界中の科学者が生物多様性に関する動向を評価し、政策提言を行う政府間組織。150カ国以上が参加し、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の生物多様性版とも言われる。今回の報告書は、35カ国の専門家79人が3年間かけて執筆し、2月に英国で行われたIPBESの総会で承認された。
報告書は、「企業には自社の自然への影響と依存に対処する責任がある」と述べ、企業ができる行動を企業全体、事業運営、バリューチェーン、ポートフォリオの四つの意思決定レベルに分けて提示。例えば、企業全体では「野心的なコミットメントと目標を設定し、生物多様性を企業戦略に統合する」、事業運営では「生物多様性への影響と行動の結果を測定し、モニタリングする」といった取り組みを求めた。
また、自然への影響と依存関係の評価に用いられるさまざまな手法の適合性について、網羅性や正確性といった観点から、意思決定レベルと、「スクリーニング」「選択肢の比較」といった測定目的に分けて整理した。
さらに、現状では「企業が生物多様性を保全・回復するための行動をとるインセンティブが不十分だ」とも指摘。2023年時点で、自然に直接的に負の影響を与える資金は、公的資金・民間資金を合わせて7.3兆ドルにのぼる一方、生物多様性の保全・回復のための活動に投じられた資金はその3%の2200億ドルにとどまっているとした。
報告書は、「生物多様性の損失を食い止め、逆転させるのに必要な規模の変化を企業だけで実現するのは難しい」として、企業が行動できる環境を整えるカギになる要素として、「政策・法的・規制的な枠組み」「経済・金融システム」「社会的価値観・規範・文化」「技術とデータ」「能力と知識」の五つを挙げている。
そのうえで、五つの要素に沿って政府、金融、企業、その他の関係者(地域コミュニティや消費者、NGOなど)ができる行動として、計100以上の具体例を示す。例えば、政府には「グリーンウォッシングを防止し、誤情報に対処するために、広告に対する規制を行う」「有害な補助金を廃止または改革する」、金融関係では「グリーンボンドや生物多様性クレジットなどの革新的な金融手段を開発・活用する」といった取り組みを提案している。
IPBESのルサンド・ジバ事務局長は、「自然はすべての人に関わる問題であり、生物多様性の保全、回復と持続可能な利用は、ビジネスの持続可能性と成功にとって極めて重要だ」とのコメントを出した。
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