安全で責任あるAI活用に向け国際的な原則を示す「ニューデリー宣言」を合意 – Science Portal Asia Pacific


インドAIインパクトサミット2026は安全で責任ある人工知能(AI)の活用に向けた国際的な原則を示す「ニューデリー宣言」への86カ国と2つの国際機関の合意をもって終了したが、インフラ、資金、ガバナンスのギャップが依然課題として残るものとなった。科学誌nature indiaが2月21日に伝えた。
この宣言は、人間中心で包摂的かつ開発志向のAI枠組みの構築を目指すもので、2026年2月16~21日に開催されたサミットの議論を踏まえてまとめられた。宣言では、AIの恩恵を開発途上国にも広げること、医療や教育など公共分野でのAI活用を強化すること、透明性や説明責任を確保して信頼性を高めることなどが示された。またAIが直面している喫緊の課題である、アルゴリズムの偏り、サイバーセキュリティー、雇用への影響といった課題への対処や、監視・監査体制の強化も求めている。
インドの電子・情報技術相のアシュウィニ・バイシュナウ(Ashwini Vaishnaw)大臣は、この宣言が人間中心のAIビジョンに対する「広範な国際的支持」を示すものだと説明した。宣言は法的拘束力を持たないが、各国のAI政策の指針となり、国境を越えた研究協力や共通基準の整備を促進することが期待されている。
一方、会議ではAIインフラや資金、技術へのアクセス格差が大きな課題として指摘された。モーリシャスのナビン・ラングーラム(Navin Ramgoolam)首相は、小国は研究開発資金へのアクセスが限られており、外部との連携なしにはAI投資が難しいと述べた。また、セーシェルのセバスチャン・ピレイ(Sebastien Pillay)副大統領は、小国がAIの恩恵を受けるには技術移転や法制度整備が不可欠だと強調した。
AIガバナンスを巡る立場の違いも浮き彫りとなった。米国のマイケル・クラツィオス(Michael Kratsios)米国大統領府科学技術政策局長は、中央集権的な国際規制に慎重な姿勢を示し、AIの発展は国家主導の能力強化や国際貿易、パートナーシップによって進むべきだと述べた。
ニューデリー宣言は、責任あるAIの国際的原則を共有する一方、実施メカニズムや規制の具体策は示しておらず、AIインフラの集中や国家主権を巡る考え方の違いなど、今後の国際協調に残された課題も明らかになった。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部
参考サイト(外部サイト):
● nature india
https://www.nature.com/articles/d44151-026-00036-6
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