リチウム金属電池の界面不安定性を解決する技術を開発 韓国KAIST – Science Portal Asia Pacific


韓国科学技術院(KAIST)は2月2日、リチウム金属電池の実用化を阻んできた「界面不安定性」を電子構造レベルで解決する技術を開発したと発表した。研究成果は材料・エネルギー分野の学術誌InfoMatに掲載された。
電気自動車の普及が進む中、より高容量の電池への需要が高まっている。リチウム金属電池は既存のリチウムイオン電池の容量限界を超える次世代電池として注目されているが、充電時に針状結晶「デンドライト」が成長し、電池寿命の低下や発火リスクにつながることが実用化の障害となっていた。
KAIST化学生命工学科のチェ・ナムスン(Nam Soon Choi)教授と材料科学工学科のホン・スンボム(Seungbum Hong)教授の研究チームは、高麗大学校のクァク・サンギュ(Sang Kyu Kwak)教授の研究チームと共同で、この原因とされる界面不安定性を電子構造レベルで制御する技術を開発した。
(左上から)チェ・ナムスン(Nam Soon Choi)教授、 ホン・スンボム(Seungbum Hong)教授、 クァク・サンギュ(Sang Kyu Kwak)教授と研究チームメンバーら
界面不安定性とは、充放電時に電極と電解質の境界が均一に保たれない現象である。その結果リチウムがデンドライト状に成長し、電池のサイクル特性低下や内部短絡、熱的不安定性を引き起こす。
(出典:いずれもKAIST)
研究チームは電解質にチオフェンを添加し、リチウムイオンが電極表面を安定して移動できる「共役構造を利用した界面保護層」を形成した。この層は電子構造が自律的に再編成され、リチウムイオンの移動に応じて電荷分布が変化し安定した移動経路を形成する。
研究チームは密度汎関数理論(DFT)シミュレーションでこのメカニズムを解析し、既存添加剤より高い安定性を確認した。またin-situ原子間力顕微鏡(AFM)観察により、高電流条件でもリチウムが表面に均一に析出・除去されることを確認した。
この技術により急速充電条件でもデンドライトの成長を抑制し電池寿命を延ばすことを確認した。研究では12分以内の急速充電と8mA/cm2を超える高電流動作も実現した。8mA/cm2は電極面積1cm²あたり8mAの電流が流れる条件を指す。
チェ教授は「今回の研究は単なる材料改良ではなく、電子構造の設計によって電池の根本的な問題を解決する成果です。急速充電と長寿命を同時に実現する次世代電気自動車用電池の基盤技術になるでしょう」と述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部
発表論文: Lee et al. (2026) Conjugation-mediated and polarity-switchable interfacial layers for fast cycling of lithium-metal batteries
参考サイト(外部サイト):
● 韓国科学技術院(KAIST)
https://news.kaist.ac.kr/newsen/html/news/?mode=V&mng_no=58590
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