
オーストラリア政府は、欧州連合(EU)の研究・イノベーション枠組み「Horizon Europe」への参加に向けた正式交渉を開始した。実現すれば、豪州の大学や研究機関、企業は総額約1,550億豪ドル規模の研究資金にアクセスできるようになり、量子・AI、クリーンエネルギー、医療、重要鉱物など多様な分野で国際共同研究が拡大する見通しだ。政府はこれを生産性向上や雇用創出につながる戦略的投資と位置付け、これまで困難だった大規模プロジェクトへの参画が可能になると強調している。
この動きを受け、豪州の主要研究大学で構成されるグループ・オブ・エイト(Go8)も支持を表明した。同日発表されたEUとの自由貿易協定(FTA)の締結や安全保障・防衛パートナーシップの合意と連動し、研究・イノベーションを含む包括的な関係が新たな段階に入ると評価するとともに、国際的な研究ネットワークへの参画は技術標準やイノベーションの方向性に影響力を持つ機会になると指摘した。
豪州では研究の多くが国際共同で進められており、EUは重要な協力相手とされてきた。今回の交渉はこうした関係を制度的に強化し、研究成果の社会実装や産業化を加速させる狙いがある。貿易や防衛との連携を通じ、サプライチェーンの強靭化やエネルギー転換など幅広い分野への波及効果も期待される。交渉が順調に進めば、2027年にも参加が可能となる見通しで、豪州の研究力と国際競争力の一層の強化が見込まれている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部
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