学生たちがLIXILと描いた「未来の暮らし」 SB University開催レポート – Sustainable Brands Japan


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次世代を担う大学生たちが集い、サステナビリティの最前線を学ぶ特別プログラム「SB University」が今年も、サステナブル・ブランド国際会議 2026 東京・丸の内で行われた。
今回はLIXILとのコラボレーションで2日間のプログラムが構成され、集大成となるDay2の最終コンテンツは、実践的なワークショップだった。学生たちは「LIXILの社員になりきり、社会課題の解決とビジネスを両立させるプロモーションを立案する」という難題に挑んだ。
ワークショップのテーマは「あなたの『価値観』を、世界を変える『ビジネス』へ」。学生たちは自身の関心に合わせて「環境問題」「衛生課題」「D&I」などのテーマを決め、LIXIL社員の立場で、社会にインパクトを生むためのアイデアを考える。2日間の学びを通して、LIXILの実際の製品を題材にビジネスプランを練り上げた。

LIXIL インパクト戦略室リーダーのデイブ・マテオ氏からは、「グリーンウォッシュやグリーンハッシュにならないよう気を付けながら、”Business as a force for good(ビジネスを善なる力として使う)”の視点で、素晴らしい商品をどうプロモートするか考えてほしい」というアドバイスも送られ、学生たちは約40分間のディスカッションと模造紙へのアウトプットに没頭した。
限られた時間の中で、各チームはターゲット設定から具体的なアプローチまで、解像度の高いプロモーション施策を発表した。

例えば、アフリカの水不足という衛生課題に着目したチームは、途上国向け簡易式トイレ「SATO」を題材に、現地のバナナの皮などを用いてバイオ分解を行う水不要のトイレ「SATOフレンドリー」を考案。普及広報には、エバンジェリストを活用するだけでなく、あえて「日本の農村やグランピング施設に逆輸入する」ことで国内の理解と資金を集めるというビジネスモデルを提示した。
また、別のチームは、マレーシアのイスラム教徒が1日5回の礼拝前に行う「ウドゥ(清め)」による水消費の多さに着目。そこでマレーシア政府をターゲットに、スコール(雨水)をろ過して「SATO」の技術と掛け合わせることで、信仰とテクノロジーを調和させる施策を提案した。
D&Iの領域では、車いすユーザー向けキッチン「ウエルライフ」に作業台の高さを変えられる可動式機能をプラスし、車いすユーザーだけでなくその家族全体が使いやすいキッチンとして再定義したチームがあった。彼らは当事者が集まる専用アプリでの認知拡大や、行政と連携したコミュニティバスでの展示場送迎といった、顧客に寄り添う営業戦略を披露した。
この他にも、排せつ物を用いたバイオ発電で水資源を循環させる都市構想や、子育てから老後までライフステージの変化に寄り添うユニバーサルデザインのキッチン、さらには従業員の生産性とワクワク感を向上させる法人向けオフィスリフォームの提案など、学生ならではの柔軟なアイデアが次々と飛び出した。
LIXILの社員陣は「どのチームもターゲットが明確で、製品の機能だけでなく現地の文化や利用者の心理にまで深く寄り添っている」と学生たちの熱量を高く評価した。
審査の結果、最優秀賞に選ばれたのは、廃プラを利用した循環型舗装材「revia」を活用した「Circular Cafe by LIXIL」を提案したチームだった。彼らは、ビジネス街にreviaを用いたシェアラウンジを設置し、サステナブルを「我慢」ではなく「心地よい空間」として体験してもらうプロモーションを立案。企業イベントの誘致や資源回収拠点としての機能も持たせることで、持続可能な認知拡大を目指すというビジネスの解像度の高さが評価され、副賞として三重県のrevia製造工場見学ツアーに招待されることになった。
また健闘をたたえ、参加した学生全員をLIXIL大崎本社のオフィスツアーへ招待することも発表され、会場は歓声に包まれた。
2日間のファシリテーターを務めた岡田羽湖・nestプロデューサーは「皆さんは今、生活者という立場から『世の中の仕組みを作っていく立場』へと足を踏み入れた。この体験と感覚を忘れずに、これからの歩みを楽しんで」とエールを送り、学生たちの学びを締めくくった。
横田 伸治(よこた・しんじ)
サステナブル・ブランド ジャパン編集局 デスク・記者
東京都練馬区出身。毎日新聞社記者、認定NPO法人カタリバ職員を経て、現職。 関心領域は子どもの権利、若者の居場所づくり・社会参画、まちづくりなど。

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