
INTERVIEW 2026.5.25 
Q、プロキャリアをスタートしたFC東京に帰ってくることになった現在の心境を教えていただけますでしょうか。
A,ご縁があって、今回FC東京のグローバルビジネス戦略アドバイザーに就任させていただくことになりました。2008シーズンからJFA・Jリーグ特別指定選手として携わらせていただいてから東京で9年ほどプレーした後、ヴィッセル神戸、サガン鳥栖、横浜FCに移籍して、現在はニュージーランドでオークランド ユナイテッドFCのU-23とU-17の監督をしています。
日本とニュージーランドは離れていますが、プロキャリアをスタートさせていただいたFC東京のみなさんと、サッカー選手としてではない形ですが、またこうしてお仕事をさせていただくことに縁を感じます。自分が何でクラブに貢献できるのか、どんな化学変化をもたらせるのか、選手とはまた違うことができるのではないかとワクワクしていますし、同時に緊張感もあります。
Q、多くのクラブを経験されたなかで、高橋さんにとってFC東京はどのようなクラブでしょうか。
A、それぞれ在籍させていただいたクラブへの思い入れはありますが、FC東京はプロキャリアをスタートさせていただいた場所です。学生時代の練習参加から始まり、練習後もクラブのビジネススタッフの方々と小平グランドで長くクラブのことや自分のこと、クラブの方向性など、たくさんの話をしました。ピッチ内だけでなく、ピッチの外でもクラブスタッフ、選手、強化部、ビジネススタッフ、地域の方々、行政の方々など、本当に多くの方々と濃い経験をさせていただきました。心の中心にある、家族のような、切っても切れない存在という感覚です。

Q、グローバルビジネス戦略アドバイザーという役割について、どのようなイメージを持ち、何をしていきたいと考えていますか。
A、大きく2つあります。1つ目はインバウンドです。これからますます東京に足を運ぶ外国人観光客が増えるなかで、FC東京の試合を見てファン・サポーターになってもらうことで、クラブの収益や価値、魅力を高めるサポートをしたいです。ニュージーランドに住んでいるからこそ見える、日本の価値観や文化の違いを伝え、日本の素晴らしさを世界に発信する手助けができればと思っています。現在はオンラインでの会議が中心ですが、日本に帰国した際にはイベントや会議に直接参加し、より深い関わり方をしていきたいです。
2つ目は国際交流です。私が指導しているニュージーランドの子どもたちと、FC東京のアカデミーの選手たちとの架け橋になりたいと考えています。真面目で空気を読む日本の子たちと、自分の想いをはっきり伝え、感情表現が豊かな海外の子どもたちが交流することで、お互いに刺激し合い、学び合える要素があると思います。以前、オークランド ユナイテッドFCの日本遠征でFC東京のアカデミーと練習試合をさせていただいた経験もあるので、そこから発展させ、両国の若い選手たちにとって思い出に残る国際交流の場を作っていきたいです。
Q、インバウンドに関して、具体的にどのようなことができると考えていますか。
A、就任してまだ日は浅いですが、まずはFC東京の価値や魅力を英語でしっかりと伝えていく工夫が必要だと考えています。どのような露出方法が最適なのかを考えていきたいです。『東京』という言葉は、東京に住んでいる方々が思っている以上に世界での認知度が高い。ニュージーランドに住んでいると、日本といえば『東京』というイメージが強く、そのネームバリューを活かして、FC東京の価値がより豊かに広がっていくようなことを具体的に進めていきたいと思っています。
Q,海外から見たFC東京のイメージはどのようなものでしょうか。
A,私がニュージーランドに住んでいるということもありますが、前提として日本のプロクラブのことはあまり知られておらず、FC東京を知っている人もほとんどいないのが実情です。ニュージーランドではラグビー人気が根強いですが、近年サッカー熱も高まっています。ただ、イギリスと歴史的な関係があるため、プレミアリーグを応援する子どもたちが多く、「どのチームを応援しているの?」と聞くと、リヴァプールやチェルシー、マンチェスター ユナイテッドといった名前が挙がります。そのなかで日本のプロリーグやFC東京の認知度はまだ低いので、ニュージーランドだけでなく、アジア、ヨーロッパ、オセアニア、南米など、様々な地域で認知されるようになってほしいです。
Q、ニュージーランドやオーストラリア地域のサッカー、そして国の魅力はどんなところにありますか。
A、まず、人がとてもおおらかで、小さいことは気にしないので、あまり気を遣いません。自分の思っていることはしっかり伝えますが、後腐れがありません。人を許すというか、「仕方ないな」と切り替えていく文化はすごく魅力的です。また、家族との時間を非常に大切にし、オンとオフがはっきりしています。
ニュージーランドは移民の国で、多様な国籍の人々が共存しています。子どものクラスも、日本人、中国人、インド人、チリ人、韓国人など様々です。そのなかで多様性を受け入れ、協調して生活していく文化があります。サッカーの面では、日本人の持つクイックネスやボールコントロール、ゲームを読む力はこちらでは秀でて見える部分なので、フットボール選手として評価されやすい環境だと思います。
Q、髙橋さん自身、フットボールの面で現在のFC東京にはどのような印象をお持ちですか。
A、昨シーズンのホーム最終節を現地で観戦しました。その試合は順位には大きく影響しないものでしたが、後半はゴールに向かう回数が増え、オープンな展開を楽しめました。昨シーズンはファン・サポーターのみなさんからすると、また上位に行けなかったという消化不良な想いがあったかもしれません。ですが、今シーズンは松橋力蔵監督のサッカーのなかで、ゴールに関わる回数やゴール前に飛び出す回数がより増えてきていて、面白いのではないかと感じています。
Q、今もチームに在籍する森重真人選手、長友佑都選手、東慶悟選手とは一緒にプレーされていましたね。
長友選手は2008シーズンの特別指定の時から一緒にプレーしましたし、その後も日本代表で一緒にプレーをしました。森重選手は同い年で、長く一緒にプレーし、タイトル獲得について語り合った記憶もありますし、良きライバルだと自負しています。東選手もナンバー10を背負っていて、この3人がいるからFC東京は崩れないんだなと感じます。ベテラン選手が頑張っている姿は、昨シーズンまで選手だった私にとってもすごく励みでした。他にも、キム スンギュ選手は神戸で一緒でしたし、ゴールキーパーコーチの山下渉太コーチは大学の同期です。強化部の方も含め、まだまだ馴染みのある方々が多いです。

Q、高橋さんの復帰を喜んでいるファン・サポーターへメッセージをお願いします。
A、『ただいま』と言うことは少し恥ずかしいですが…。ふたたびこのようにお世話になったクラブ、ファン・サポーターのみなさんと関わることができて本当に嬉しいです。未熟だった学生時代から多くの方に支えられ、叱咤激励もいただき、様々な経験をさせてもらったからこそ今の自分がありますし、ニュージーランドにチャレンジするきっかけにもなりました。
人から学び、人に伝えるという経験が、指導者としてのセカンドキャリアに繋がっています。選手や指導者とは違う新たな立場でFC東京に関われることになり、これも本当に縁だと感じています。「いつか関われたらいいな」と思っていたことが実現し、人生は感慨深いなとあらためて感じています。まだ大きなことを成し遂げたわけではありませんが、ふたたびこうして交われたことを嬉しく思います。
Q、日本に帰国された際には、また解説(高秀先生)などもされますか?
もし機会をいただけるなら、辛口でしっかりとコメントさせていただきます(笑)。
COLUMN 2026.5.25
夢五夜
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