
赤外光学ガラスとは
赤外光学ガラスは、可視光を中心とする一般ガラスとは異なり、赤外線を透過させる特殊光学材料であり、赤外線サーモグラフィー、暗視装置、監視カメラ、車載センシング、医療機器などのレンズや窓材に使用される。赤外光学ガラスの世界市場規模は2025年に3億4,000万米ドル、2032年には5億7,100万米ドルに達すると予測され、2026~2032年のCAGRは8.2%となる見通しである。業界の平均粗利益率は約30%とされ、今後は高屈折率・低分散、広帯域透過、耐環境性を兼ね備えた材料への需要が市場拡大を支える。
00001図. 赤外光学ガラスの写真
00002図. 赤外光学ガラスの世界市場規模
QYResearch調査チームの最新レポート「赤外光学ガラス―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」によると、赤外光学ガラスの世界市場は、2025年に340百万米ドルと推定され、2026年には356百万米ドルに達すると予測されています。その後、2026年から2032年にかけて年平均成長率(CAGR)8.2%で推移し、2032年には571百万米ドルに拡大すると見込まれています。
上記の図表/データは、QYResearchの最新レポート「赤外光学ガラス―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」から引用されている。
赤外光学ガラスでは、硫黄・セレン・テルルを主体とするカルコゲナイドガラスに加え、ゲルマニウム、シリコン、ZnSe、ZnSなどの結晶材料が重要な位置を占める。1~3μm、3~5μm、8~12μmの大気の窓領域で高い透過特性を持つことが、赤外光学ガラスの最大の技術的価値である。市場はカルコゲナイドガラス、ゲルマニウム、ZnSe・ZnSなどに分類され、軍事・防衛、セキュリティ、車載、産業、医療などへ展開している。
近年の赤外光学ガラス開発では、単純な透過率向上から、光学系全体の小型化・高精度化を意識した材料設計へ重点が移っている。特に高屈折率・低分散化によって収差を抑制し、解像性能を高める研究が進む。2026年には、カルコゲナイドガラスについて21μmまでの広帯域赤外透過と高い柔軟性を両立した研究成果も報告されており、従来型レンズに加えて適応光学への応用可能性が示されている。
また、赤外光学ガラスではゲルマニウム依存の低減も重要なテーマとなっている。2026年の業界動向では、カルコゲナイド材料への引き合いが増加しており、SCHOTT North Americaでは2024~2025年にカルコゲナイド関連見積件数が96%増加、平均見積数量も108%増加したと報告されている。
赤外光学ガラスの競争力を左右するのは材料組成だけではなく、精密成形、研磨、コーティングを含む製造プロセスである。特にカルコゲナイドガラスは精密ガラスモールドによる量産性に優れ、複雑な非球面形状を効率的に形成できる点が注目されている。 車載用赤外レンズでも、圧縮成形とアサーマル設計を組み合わせることで、温度変化による焦点ずれを抑える研究が進んでいる。
環境対応も赤外光学ガラスの重要課題である。従来材料に含まれるヒ素・鉛などへの規制強化を背景に、ヒ素フリー、鉛フリー材料の開発が進展している。さらに、2026年にはAs₂Se₃カルコゲナイドガラスに高硬度・高透過率を両立する多層保護コーティングの研究も報告され、長波赤外線光学系の耐久性向上につながる技術として注目される。
主要企業にはUmicore、Amorphous Materials、Vitron Spezialwerkstoffe、CDGM Glass、Hubei New Huaguang、VOT、LightPath Technologies、SCHOTT、AGC、Corning、Ohara Corporation、Sumita Optical Glass、Crystran、Gabrielleなどが含まれる。今後の赤外光学ガラス市場では、軍事・防衛用途に加えて、車載熱画像、産業用サーモグラフィー、医療センシングなどの民生市場が成長余地を形成する。
特に今後は、ゲルマニウム代替材料、広帯域透過、アサーマル特性、環境対応、精密モールド成形を組み合わせた高付加価値製品が競争軸となる。2026年の研究開発では、カルコゲナイドガラスを利用した赤外光学部品の接合技術や高耐久コーティングなど、材料単体から「光学システムとしての性能」を高める方向へ技術開発が進んでいる。
本記事は、QY Research発行のレポート「赤外光学ガラス―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」に基づき、市場動向および競合分析の概要を解説します。
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