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(写真提供:PhotoAC)
文化庁が2024年9月に公表した令和5年度「国語に関する世論調査」によると、1ヶ月に1冊も本を読まないと答えた人が全体の6割を占めていたそうです。そのようななか、ジャーナリストである清野由美さんは、「書店業界では『本屋さんがなくなる』悲観論ばかりが叫ばれている」と語っています。そこで今回は、清野さんの著書『書店再興 まちの本屋さんのゲームチェンジのために』から一部抜粋し、シェア型書店「ほんまる」など3軒の書店を経営する直木賞作家・今村翔吾さんへのインタビューをお届けします。 【書影】シビアな数字と希望を持って語る、書店業界の現状と再興の道。清野由美『書店再興 まちの本屋さんのゲームチェンジのために』 * * * * * * * ◆直木賞作家が数字も見ながら書店を営む —— 単刀直入にうかがいますが、なぜ直木賞作家として名のある今村さんが、そんなに手も足も広げるのでしょうか。 今村翔吾さん(以下、今村):なぜ作家が書店をやろうと思ったか。それは、従来の書店のビジネスモデルがもう限界だからです。 —— いきなり限界という言葉が出てきました。 今村:はい、限界に来ています。 僕は本に、そして「まちの本屋さん」に育ててもらった書店大好き人間です。そんな自分からすると、書店が世の中からなくなることなんて、あってはならないことなのです。書店が存亡の危機にあるなら、救う道はどこにあるのか——。そのことはこの30年、関係者たちがずっと議論してきたことでした。 でも、それで事態は改善したかというと、少しも進展しなかった。関係者といわれる人たちが顔を付き合わせて、ああだ、こうだとそれらしいことを言い合って、最後は「しっかり議論しないといけませんね」で、ちゃんちゃん。「そうやって議論ばかりやってきたから、今の危機があるんじゃあ」と、ハラの立つ自分がいて、だったら、まず自分からアクションを起こそうと思った。これが一つめの大きな理由です。
◆「本+本」で成り立つ形 —— 「やれることをやる」という前段として大阪、佐賀での書店経営というアクションがあるわけですが、今回の「ほんまる」は東京・神保町という書店の聖地での新規出店。しかもシェア型書店という変わった業態です。本を売る店ではなく、本を売るための棚を貸す、という形をなぜ選んだのでしょうか。 今村:僕は直木賞をいただいた時に、特別仕立てのバンで全国47都道府県の書店さんや学校、図書館を回る「今村翔吾のまつり旅」というキャラバンを行ないました。 5月から9月にかけての約120日間は、一度も自宅に帰らずに、原稿もバンの中で書いていました。周りからは「今村さん、もしかしたらアホちがいますか?」といわれ、その通りでしたが(笑)、その時に全国にある書店が、生き残るためにさまざまな努力をしている現場をたくさん見たのです。 たとえば、この30年は本に雑貨やDVD、カフェなどを組み合わせる「本+何か」が流行った時代でした。 —— 本+雑貨は1986年に開業した「ヴィレッジヴァンガード」が嚆矢の存在で、2003年に上場まで果たしましたが、近年は大量閉店に追い込まれています。 今村:そう、かつてはウケた業態でも、今は市場が変化して、工夫が効かなくなっている。最近は手っ取り早い儲けとしてガチャガチャを入れた売り場が増えていたり、あと、変わり種でいうとトルコ料理屋さん併設の本屋さんもあったりします。スパイシーな料理と本の組み合わせは、それはそれで面白いと思いますが、それほどみんなが「本+**(何か)」という組み合わせを試行錯誤しているんですね。 その中で、できれば「本+本」で成り立つ形はないかと僕は考えて、その一つとしてシェア型書店については、ずっと研究をしていました。
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