
中央教育審議会(中教審)で進む学習指導要領改訂の議論において、中学校の「情報・技術科」(仮称、以下同)に複数の技術を組み合わせて課題解決に取り組む「総合実習」(仮称、以下同)を盛り込む案が出された。2026年4月16日に開かれた中教審教育課程部会の情報・技術ワーキンググループ(以下WG)で議論された。
中学校では現在、技術・家庭科の技術分野で、木材加工や栽培、電子工作など体験的な学習を重視している。ただ、授業時数の制約もあり、学んだ内容を実生活や実社会の課題解決に十分生かし切れていないとの指摘があった。総合実習は、こうした課題を踏まえ、技術の領域や分野にとらわれず、最適な技術を判断・活用して探究的に解決する学びと位置付けられる。
この総合実習を含む情報・技術科は、学ぶ内容を大きく2つの領域に再編する案が検討されている。1つめは、情報・コンピューターの原理、AI、アルゴリズムとプログラミング、データ、コミュニケーションやメディアなどを学ぶ「情報技術」(仮称)。2つめは、「材料と加工」「生物育成」「エネルギー変換」(いずれも仮称)の内容を生産の観点で捉え直し、情報が基盤になる構造を明確にする「情報を基盤とした生産技術」(仮称)だ。ここに、既習内容を踏まえて課題解決に取り組む総合実習を組み込む。
文部科学省は総合実習の狙いについて、個別の知識や技能を相互に関連付けながら統合的に理解する「統合的な理解」と、複雑な課題の解決に向けて思考力・判断力・表現力などを組み合わせて使う「総合的な発揮」の両面から構造化し、深い学びの実現を目指すものと説明した。
総合学習に充てる時間は、各内容項目の時間の一部を問題解決の時間に位置付けるといった指導計画の編成を想定する。学習活動の例としては、2つのパターンが示された。一つは、ほかの内容項目から時間を移さない形で技術の統合を学ぶ方法だ。例えば、「材料と加工」の授業で制作したプランターに、土の乾き具合を通知するセンサー機能を追加する。既習の成果物を活用しながら、IoTの考え方を体験的に学べる点が特徴という。
もう一つは、ほかの内容項目から時間を移す形で、複数技術を統合する学習活動に取り組む。例として、防災をテーマに、逃げ遅れた人が自分の居場所を知らせるための救助ロボットなどのシステムモデルを作る案が示された。センシング技術、制御プログラム、通信技術、機構設計など、複数の技術領域を横断して学ぶことになる。
文部科学省は、こうした学習を通じて「統合された技術の利便性と課題の両面を踏まえ、防災・減災に資する活用のあり方を考える力、技術を適切に活用しようとする態度を身に付けることが期待される」と説明する。単なるものづくりに終わらせず、社会生活の中で技術を評価し、活用する視点の育成を重視している。
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