レンズ突出なしの超薄型広視野・高解像度カメラを開発 韓国KAIST – Science Portal Asia Pacific


韓国科学技術院(KAIST)は4月7日、KAISTの研究者らが寄生昆虫の視覚構造に着想を得て、レンズの突出なしで広視野と高解像度を両立する超薄型カメラを開発したと発表した。研究成果は学術誌Nature Communicationsに掲載された。
チョン・キフン(Ki-Hun Jeong)教授(前列右)、キム・ミンH(Kim Min H.)教授(右上)と研究チームメンバー
本研究は、KAIST生物・脳工学科のチョン・キフン(Ki-Hun Jeong)教授と同コンピューティング学部のキム・ミンH(Kim Min H.)教授が率いる共同研究チームによるものである。従来、広角撮影には複数レンズの積層が必要で厚み増加が避けられなかったほか、複眼カメラは広視野だが解像度が低く、単レンズカメラは高解像度だが視野が狭いという課題があった。
研究チームは、寄生昆虫「Xenos peckii」が複数の視覚情報を統合して高解像度画像を生成する仕組みに着目した。この原理を応用し、複数のマイクロレンズで異なる方向の像を取得し統合する構造を設計することで、従来の複眼カメラの低解像度問題と単レンズカメラの視野制限の双方を克服した。
昆虫の複眼の原理に着眼したカメラ構造の概念図と、開発された超薄型カメラ
(出典:いずれもKAIST)
開発されたカメラは厚さ約0.94mmと極めて薄く、対角140度の広視野角(人間の周辺視野を上回る)を実現する。さらに、楕円形マイクロレンズと光入射位置の最適化により、画像周辺部の歪みやぼやけを抑制し、画面全体で均一な画質を維持しつつ、極めて近距離でも安定した撮影を可能とした。
チョン教授は「従来の広角カメラは小型化と高解像度の両立が困難であったが、本研究では自然界の視覚原理を応用することで、超小型構造においても広視野と安定した画質を同時に実現しました」と述べている。本技術は医療用内視鏡やマイクロロボット、ウェアラブル機器などでの応用が期待される。なお、光学イメージング企業マイクロピックス(MicroPix)社への技術移転は既に完了しており、来年中の本格的な商用化を目指している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部
発表論文: Kwon et al. (2026) Biologically inspired microlens array camera for high-resolution wide field-of-view imaging.
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JST
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