AI時代の収益還元を標準へ スマートニュースがメディアパートナーと歩む「持続可能なニュースエコシステム」の姿 – about.smartnews.com


2026年05月11日
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スマートニュースは2025年7月、AIを活用して複数の記事から個別に要約を作成する機能「スマニューAIまとめ」の提供を開始しました。「スマニューAI」とは、AIを活用してコンテンツの要約やパーソナライズを高度化した、SmartNewsの次世代プロダクト群を通じて提供する新しいユーザー体験の総称です。その進化は現在も続いていますが、AIによる情報体験のアップデートが加速する一方、メディア業界ではコンテンツの権利保護と収益還元がかつてないほど重要な論点となっています。当社はこの課題に対し、提供開始当初から許諾に基づくコンテンツ利用と収益還元を含めた契約プログラムを導入し、メディアパートナーの皆様と対話を重ねながら歩みを進めています。 急速に変化する情報環境の中で、いかにメディアパートナーの皆様に寄り添い、共栄の未来を設計していくのか。2025年上半期、「スマニューAI」の第一弾プロダクト(スマニューAIまとめ)リリース時の背景と2026年以降の展望について、ビジネス面でプロジェクトを牽引したメディアパートナーシップマネージャーの荒牧 航に話を聞きました。
スマートニュース株式会社 メディアパートナーシップマネージャー
荒牧 航(あらまき わたる)
千葉日報社にて記者、経営企画室長、デジタル担当執行役員を歴任。日本新聞協会委員としても活動後、2019年9月にスマートニュース株式会社へ参画。Head of JP Content & Media BDとしてニュースコンテンツ関連業務を統括後、現在はメディア事業開発を専任してAIパートナープログラムの推進にフォーカスしている。
――本機能の企画にあたり、スマートニュースが大切にしていた考えや、メディアパートナーの皆様との対話のプロセスについて教えてください。

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2025年当初の企画段階では、世の中にまだこういった一般ユーザー向けのニュースプロダクトがなく、メディア業界でもAI活用については慎重論が多い状況でした。そのため、私たちが最初にプログラムをご提案した際も、コンテンツ参照のあり方について、一つひとつ丁寧に確認のプロセスを踏まれる企業様が多かったですね。ただ、スマートニュースはこれまでも「テクノロジーパートナー」として、技術を通じてパートナーの皆様のビジネスを支え、共にお届けする役割を大切にしてきました。その信頼関係があったからこそ、私たちがAI活用の提案をしたことに対して、期待とともに寄せられた多くの「不安」の一つひとつに真摯に向き合うことから、このプロジェクトは始まりました。 ローンチ後も、品質面やユーザー体験に関するご質問は継続的にいただいています。同時に「使っていて面白い」といったお声を頂戴することもあります。スマニューAIまとめは、普段ニュースにあまり触れないライトユーザーの皆様にとっての入り口となり、より深く知りたい方には元記事へと橋渡しをする役割を担うことを目指していましたので、その狙いや効果について、今もなお議論と改善を続けているところです。
 ――この機能をきっかけに始まった新しい契約プログラムはどのような内容なのか、また、どのような思いで設計されたのかを教えてください。

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スマニューAIまとめは、各社の記事を元に個別に要約し、一つのコンテンツとして再構築するプロダクトです。このまとめページ上で広告収益が発生した場合、その源泉である記事をご提供いただいた皆様に確実に収益を還元する、という新しい収益還元のご提案です。 2026年4月現在、AIによるサマリーページにおいて、参照されたコンテンツに対価が支払われる仕組みは、世界的に見てもまだ模索の段階にあると考えています。その中でスマートニュースは、企画の当初から、AIまとめで発生した収益は出典元に分配することを基本的なビジネス設計としてプランニングしていました。 私の所属するメディアパートナーシップという部署は、初期のプランニングからこのプロジェクトに深く関わってきました。どのようなロジックで、どのような要件で収益を還元するのか。皆様からヒアリングを重ね、各社が納得できる形を追求しました。ユーザーをきちんと出典元の記事へ案内する役割を担いつつ、まとめページ上でも収益を分配する。この2つが、業界の共通認識になってほしいという強い願いを込めて、この仕組みを作りました。
――メディアパートナーの皆様の視点を反映させるために、プロダクトチームとはどのように連携されたのでしょうか。 
このプロジェクトは、代表取締役社長CEOの浜本階生の、AIを活用したユーザー体験のアップデートこそが今私たちが取り組むべきことであるという強い意思が起点となりました。短期的な指標に左右されず、皆様の許諾をいただくことを前提に、トップの強い信念のもと、開発とご提案を並行して進める非常にアジャイルな進行でした。
プランニングから提供開始に至るまで、開発チームと密に連携しながら、並行してメディアの皆様へ直接ご説明に伺い、合意をいただく。チーム全体が一丸となって取り組んだ結果、無事にローンチを迎えることができました。 初期設計の段階から、浜本、プロダクトの責任者、プロダクトマネージャー、エンジニアといったコアメンバーの中に私も入り、連日一緒に議論を重ねました。最初からメディアパートナーのビジネスモデルを尊重し、「このプロダクトがエコシステムにどう貢献するのか」という視点が組み込まれていたことが非常に大きかったですね。 そのため、メディアパートナーの皆様へご提案する際も、単に決まった仕様をお伝えするのではなく、構築の背景から自身の言葉で丁寧にお話しすることができました。未契約のメディアパートナーも含め、皆様が抱かれる懸念を受け止め、責任を持ってご説明を尽くすことが、私たちの責務だと感じています。
 ――ローンチ当初は50媒体ほどだったメディアパートナーも、現在は100を超えています。最初のメディアパートナーの皆様とは、どのように議論を進められたのでしょうか。
このプロジェクトは、メディアパートナーの皆様のご賛同をいただけない限り、一歩も前に進むことはできません。何よりも、対話を重ねていくなかで皆様にご理解をいただくことが、この取り組みの根幹でした。 当時は浜本も自ら現場に入り、メディアパートナーシップのチームメンバーが一丸となって連日メディアパートナー様への丁寧なご説明に奔走する日々でした。1社、また1社と許諾のご報告を受けるたびに、社内には大切なコンテンツを託していただいたことへの深い感謝と身の引き締まる思いが広がりました。この経験を通じて、メディアの皆様と共にエコシステムを創っていくことの意義と、コンテンツをお預かりすることの重責を改めて胸に刻みました。
メディアパートナーの皆様と真摯に向き合うのは、創業から10年以上走り続けてきた当社にとって当然のことですが、今回のプロジェクトを通じて、AIという新しい技術を導入するからこそ、これまで以上に真摯に、かつ謙虚に皆様と向き合うことが不可欠であるという考えが組織に改めて浸透しました。そして何より、私たちの根底に流れるテクノロジーベンチャーとしてのマインドを、メディアとの共生という原点とともに再認識する忘れがたい経験となりました。

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――今後メディアパートナーの皆様とどのような新しい関係性を築いていきたいですか。 
2025年の下半期には、政治・経済を中心としたニュースを扱うメディアだけでなく、エンタメやスポーツといったメディアにも対象を広げ、多くのメディアパートナー様にご参画いただきました。収益分配の総額も順調に伸びています。そして2026年は、マルチモーダルへの対応など、さらなる情報体験の進化を通じて、パートナーシップをより一層深めていく方針です。昨年から始まったAI時代のパートナーシップをさらに拡張し、情報環境が急速に変化し続ける中で、正しい情報が、正しいビジネススキームのもとで届けられる世界を目指したいと考えています。

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