Japanese Singing in a Kento Nakajima Collaboration: Learning How to Increase Overseas Fans from SB19 and BINI, Who Hit #1 on Global Trends at Summer Sonic|徳力基彦|エンタメビジネスウォッチャー – note


今年も日本最大級の夏フェスの一つであるサマソニことSUMMER SONICが、幕張メッセと大阪の万博記念公演で同時開催され、大きな話題になっていました。
特に今年は、藤井風さんがイギリスのシンガーソングライターであるElmieneのステージにサプライズで出演を果たしたり、アメリカ人シンガーソングライターであるkeshiのステージに、HANAのメンバーがサプライズで出演を果たしたりと、例年にもまして様々な国境を越えたコラボを観ることができる年となっていました。
その中でも印象的なコラボの一つと言えるのが、5人組のフィリピンのボーイズグループであるSB19のステージです。
SB19のステージには、その日同じパシフィックステージでパフォーマンスを披露していた中島健人さんが2曲目の「GENTO」披露中にサプライズ出演して、観客を大いに湧かす結果になっていたのです。
 
実は今年は、SB19に加えてフィリピンのガーズルグループであるBINIも、サマソニに初出演を果たしており、フィリピンのP-POPを代表する2つのグループが揃ってサマソニに出演する形となっていました。
この2組出演のもっとも象徴的なインパクトと言えるのが、サマソニの初日となる8月14日に2組が大阪の出演を果たした後、2組のサマソニ出演関連ハッシュタグが、Xの世界トレンドの1位を獲得してしまった点です。
16時台〜17時台は先に出演したBINIのハッシュタグが世界1位を獲得し、その後18時からはSB19のハッシュタグが世界1位を獲得するという流れになっていたのです。
なにしろBINIは今年フィリピンのグループとして初のコーチェラ出演を果たし、ヘッドライナーのジャスティン・ビーバーやサブリナカーペンターと並んで大きなインパクトを世界にもたらしたグループになります。
またSB19もフィリピンのグループとして初のロラパルーザ出演を果たし、そのパフォーマンスで高い評価を受けたグループです。
そういう意味では、今回のサマソニ出演で世界トレンド1位を取るぐらい話題になるのは、当然と受け止める方も少なくないかもしれません。
しかし、実はコーチェラやロラパルーザがYouTubeやDisney+などでパフォーマンスが世界配信されていて、フィリピンのファンも生で視聴できたのに対して、サマソニのライブ配信はWOWOWオンデマンドで実施されているため、フィリピンなどの海外から視聴することができません。
パフォーマンスを視聴できないにもかかわらず、フィリピン在住のファンが中心にSNSでハッシュタグ投稿を盛り上げて、世界のトレンド1位を取ってしまったわけで、いかにSB19やBINIのファンにとってサマソニ出演が注目されていたかが良く分かると思います。
 
特に今回のSB19とBINIのサマソニ出演に対する姿勢に、彼らがいかに海外のファンを増やしてきたかというヒントを学ぶことができます。
まず非常にわかりやすいポイントとなるのが、冒頭でご紹介したSB19のステージへの中島健人さんのサプライズ出演でしょう。
SB19のステージの後にはGENERATIONSとMAZZELという日本の人気グループが2組控えていたこともあり、SB19のステージにはSB19のパフォーマンスを初めて観る人たちも数多く集まっていたようです。
ただ、そのステージに日本でも非常に知名度の高い中島健人さんがサプライズ出演したことで、一気にそうした初見の人達もSB19のステージにさらに引き込まれる結果になっていました。
また、中島健人さんは、この日の昼過ぎにこのSB19が出演した同じパシフィックステージでパフォーマンスを披露していますが、実は彼らが前日焼き肉を一緒に食べたというSNS投稿をされていた関係で、SB19とのコラボを予感して待っていた中島健人さんのファンも多くいたようです。
@KENTO_Team_N
焼肉一緒に食べた。
何かしよっかな〜👀うふふ

Had Yakiniku together.
Something might be in the works…#SB19_KENTO pic.twitter.com/lHsSphCvXs
さらにSB19は、BE:FIRSTとも「Toyfriend」というコラボ楽曲をリリースしており、当日はBE:FIRSTのファンも多く駆けつけていたようです。
こうしたアーティスト同士のコラボは明らかに、アウェーの地でパフォーマンスをする際の重要な選択肢になっていると言えるでしょう。
今回SB19のステージに出演した中島健人さんも、今年は初めてのアジアツアーに挑戦されますし、今回のSB19のコラボはアジアでの知名度を高めるのに間違いなく効果があると考えられるわけです。
   
一方のBINIは、日本のアーティストとのコラボこそありませんでしたが、サマソニ出演に合わせて日本語歌唱を2曲も披露していたのが大きなポイントと言えます。
まず「Born To Win」という曲は、もともと海外展開を想定して2021年に作られた楽曲のようで、日本語以外にもタイ語やスペイン語バージョンもある多言語曲になります。
今回はコロナ禍もあり、なかなか披露の機会がなかったこの「Born To Win」の日本語版をついにサマソニで披露する機会となったわけです。
ただ、さらに驚くのは今回のサマソニではBINIの代表曲の一つでもある「Salamin, Salamin」という楽曲も日本語歌唱を交えて披露された点です。
この曲の日本語バージョンは、BINIのファンも初めて聞いたもののようですので、完全にサマソニ出演のために用意されたパフォーマンスだったようです。
実は「Salamin」というのは日本語の「鏡」のことなので、言葉のリズムも上手くはまったので挑戦したということなのかもしれませんが、サマソニのためだけに日本語歌唱を練習してパフォーマンスしてくれたという事実は、当然多くのBINIを初見の日本人の心を掴むきっかけになったと考えられるわけです。
さらにSB19もBINIも、MCで当然の様に日本語を組み合わせて喋っているのも非常に印象的です。
自分達が訪問した国毎に、その国のアーティストとコラボしたり、パフォーマンスやMCをその国の言語で実施することの重要さを、SB19とBINIは教えてくれていると言えるでしょう。
  
さらにSB19とBINIのSNS上での反響を見ていて興味深いのは、こうしたアーティスト側のパフォーマンスや努力を、世界中に拡げるエネルギーとして、ファンダムが重要な役割を果たしている点です。
今回、SB19の取り組みで特に興味深かったのは、今回のサマソニ出演に際して、ファンに対して、写真や動画撮影の許可を公式SNSを通じて宣言している点です。
PHOTOS & VIDEOS ARE ALLOWED during SB19’s set at SUMMER SONIC TOKYO! 🇯🇵

A’TIN, feel free to capture and share your favorite moments as SB19 takes the stage! #SB19 #UySB19 #summersonic #サマソニ 🐐🇵🇭
サマソニは、イベント自体は撮影禁止が宣言されているものの、代表の清水さんがメディアのインタビューに応える形で「アーティストがOKな場合はOK」と答えており、ライブ撮影が普通と考えている海外アーティストのステージの多くは、実質撮影が許容されているのが実態です。
ただ、こうして明確に公式SNSから宣言することで、よりSB19のファンが胸を張って撮影したファンカムをSNSでシェアすることができるようになり、世界配信がされないサマソニのパフォーマンスを、ファンカム経由でフィリピンや日本以外のSB19のファンにも視聴できるようにしているわけです。
特に最近のXは、言語の自動翻訳機能が実装されたこともあり、SB19やBINIのファンは、アーティストを褒めてくれたり動画をシェアしてくれた日本人にも積極的に感謝をしたり、アーティストに言及してくれた人達の疑問に答えたり、今後のファンミーティングなどの活動を紹介したりしているようです。
BTSが世界的にファンを増やすことができたのも、BTSのファンであるARMYが積極的にSNSで拡散をしたり、動画に字幕をしたりしたことが大きかったと言われていますが、SB19のファンであるA’TINや、BINIのファンであるBloomsも、同様の拡散や支援を積極的に実施していると言えるわけです。
そのエネルギーが、海外配信が存在しないサマソニ出演のタイミングで、SB19やBINIのハッシュタグが世界1位になった背景にあるのは間違いありません。
今後日本のアーティストが、SB19やBINIのように世界にファンを広げる上で、同じように日本のファンのパワーが鍵になるのは間違いないでしょう。
SB19やBINIの取り組みから、日本のアーティストや音楽関係者が学べることは、たくさんあるはずです。
この記事は2026年8月17日Yahoo!ニュース寄稿記事の全文転載です。

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