
MicronがHBM生産能力を年末までに月10万枚規模へ拡大する見通し。12-Hi HBM4の比率も50%へ上昇するとされ、Samsung・SK hynixを追撃。NVIDIA向けHBM供給の多様化も進み、3社の競争が激化している。
Micron/HBM4/HBM4E/Samsung/SK hynix
SamsungがHBM4の生産拡大を急ぎ、SK hynixとの差を縮めようとする中、MicronもHBMを、価格が高騰している従来型DRAMに次ぐ新たな成長エンジンとして位置付けている。
ETNewsによると、米国のメモリ大手MicronはHBMの生産能力拡大を加速しており、月間最大6万枚のウェハーを追加する可能性がある。背景には、12-Hi HBM4への注力強化がある。
業界関係者によれば、MicronのHBM生産能力は昨年時点で月4万~5万枚程度だった。一方、事情を知る別の関係者は、MicronのHBM総生産能力が2026年末までに月10万枚程度に達すると予想している。
12-Hi HBM4の生産比率が急上昇
特に注目されるのが、NVIDIAの最新AIアクセラレーター「Vera Rubin」に採用される12-Hi HBM4だ。
Micronは現在、12-Hi HBM3Eの比率が高い生産構成から転換し、HBM4の生産比率を大幅に引き上げようとしている。
ETNewsによると、12-Hi HBM4は今年初めにはMicronのHBM生産量の約20~30%を占めていたが、年末には50%に達する可能性があるという。
Micronの積極的な能力増強を支えているのが、予想を上回るHBM4の生産立ち上げだ。
同社は以前、HBM4の生産拡大がHBM3の約2倍のスピードで進んでいると説明している。AI需要の強さが背景にある。
さらにMicronは、2027年から次世代HBM4Eの生産拡大を開始する計画だという。初期サンプルには、同社の「1-gamma」プロセスで製造したDRAMモジュールが使用される見通しだ。
それでも韓国勢との差は大きい
MicronのHBM増産は大きな動きだが、韓国勢は依然としてはるかに大きな生産規模を持っている。
ETNewsが引用した業界推計によると、SamsungとSK hynixのHBM生産能力はそれぞれ月15万~20万枚程度。
これはMicronの現在の生産能力の約3~4倍に相当する。
一方、Micronの増産は、NVIDIAが今後の製品でHBM構成を多様化しようとしていることを考えると、ますます重要になる可能性がある。
ZDNetによれば、SamsungとSK hynixは今年下半期からNVIDIA向けの8-Hi HBM4の出荷を段階的に増やす計画だという。
NVIDIAは12-Hi製品への依存を減らし、8-Hiを含めて複数のHBM構成を組み合わせようとしている。
これは、熱設計上の制約とサプライチェーンの安定性を両立させる狙いがあるとみられる。
SamsungもHBM4を本格増産
HBM競争が激しくなる中、SK hynixとの差を縮めようとしているSamsungも、新世代HBM4に生産能力の大部分を振り向ける見通しだ。
Chosun Dailyによると、Samsung ElectronicsはHBM生産能力の半分をHBM4に割り当てる方針だという。
Samsungは2月に初のHBM4出荷を開始しており、その後生産量を増やして市場シェアの回復を目指している。
半導体業界関係者によれば、Samsungは現在、HBM向けに月約15万枚のDRAMウェハーを処理しており、そのうち約7万5,000枚がHBM4に振り向けられているという。
残りの生産能力は主に12-Hi HBM3Eに使われている。
さらにSamsungではHBM4の歩留まりも改善している。
Green Economyによると、SamsungのHBM4歩留まりは約80%近くまで上昇したとされる。これは6カ月前の約60%から大幅な改善となる。
今回の記事で重要なのは、Micronが「HBMで追随する企業」から、明確に3大HBMメーカーの一角として生産能力を拡大し始めている点です。
特に注目したいのが、月10万枚という生産能力です。
現在の推定値では、
* Samsung:月15万~20万枚
* SK hynix:月15万~20万枚
* Micron:年末に月10万枚程度
となり、Micronは依然として韓国勢に差をつけられています。
しかし、HBM市場では単純な「ウェハー枚数」だけで勝敗が決まるわけではありません。
HBM4では、DRAMの微細化、ベースダイ、先端パッケージング、積層技術、歩留まり、熱特性など、複数の要素を同時に成立させる必要があります。
その意味で、Micronが12-Hi HBM4の比率を年末に50%まで高めるという点はかなり重要です。
「生産能力」から「製品ミックス」の競争へ
今回の記事から見えてくるもう一つの変化は、HBM競争が単純な大容量化競争ではなくなっていることです。
NVIDIAが8-Hiと12-Hiを使い分ける方向に進めば、HBMメーカー側も顧客のAIアクセラレーター設計に合わせて複数の製品を供給する必要があります。
つまり今後は、
「どれだけHBMを作れるか」
だけでなく、
「8-Hi、12-Hiなどを、どの歩留まり・性能・消費電力で量産できるか」
が重要になります。
Samsungの80%歩留まりも重要
Samsungについては、HBM4の歩留まりが約60%から約80%まで改善したという情報が特に注目です。
HBMは複数のDRAMダイを積層するため、個々のダイだけでなく、積層・接合工程まで含めた歩留まりが最終的な収益性を大きく左右します。
したがって、SamsungがHBM4の歩留まり改善と生産能力拡大を同時に進められるのであれば、「SamsungがHBMでSK hynixに追いつく」というシナリオの現実味は以前より高まっていると考えられます。
一方で、SK hynixもHBM4/HBM4Eの技術開発を進めています。
したがって2026~2027年のHBM市場は、
SK hynix=先行者優位
Samsung=歩留まり改善+大規模生産能力
Micron=急速な能力増強+HBM4E
という三つ巴の構図になりつつあります。
そして最終的には、NVIDIAがどのHBMメーカーに、どの容量・積層数の製品を、どれだけ割り当てるかが市場シェアを大きく左右するでしょう。
この記事は noteマネー にピックアップされました
Micron Technology, Inc.
NVIDIA Corporation