隠れた周期性を解明し10億個超のナノ構造解析を効率化 韓国POSTECH – Science Portal Asia Pacific


韓国の浦項工科大学校(POSTECH)は9月3日、同校の研究者らが一見非周期的なメタサーフェス内に隠れた反復パターンを見いだし、解析と設計を高速・高精度化する新たな枠組みを開発したと発表した。研究成果は学術誌Nature Communicationsに掲載された。
POSTECHのロ・ジュンスク(Junsuk Rho)教授とキム・ソクウ(Seokwoo Kim)博士が率いる研究チームが開発した。メタサーフェスは光の波長より小さなナノ構造からなり、光の方向や色などを精密に制御できる。望む光学機能を得るには個々の構造の大きさ、形状、向きを徐々に変えるが、構造間の違いが増すと表面全体の周期性が失われ、光との相互作用の計算が難しくなる。数cm幅のメタサーフェスには10億個超のナノ構造が含まれる場合があり、厳密なシミュレーションには膨大な時間を要するため、従来は単純化した仮定や計算負荷の大きい大規模シミュレーションに頼ってきた。
(出典:POSTECH)
研究チームは、向きや間隔がわずかに異なる規則的な模様を重ねると大きな干渉模様が現れるモアレパターンに着目。メタサーフェスの基本格子と、光の向きを変えるために加えた空間的変化を二つの重なるパターンと捉え、両者の向きと間隔が特定の条件を満たすと、非周期的に見える構造にも大きな反復パターンが現れることを数学的に示した。
これにより、膨大な配列を代表する「小さな反復単位」を特定し、10億個超のナノ構造を持つデバイスでも、数十個からなる単位だけで全体の特性を解析できる。実際にデバイスを作製して光が予測された方向に制御されることを確認し、意図した方向の光と不要な回折・散乱チャネルも明確に区別した。原理は波動物理学に基づくため、音、電子、機械振動を扱う系にも拡張できる可能性があり、拡張現実(AR)・仮想現実(VR)用部品や高性能メタレンズなどの開発基盤になると期待される。
同教授は「無秩序に見える構造の中の隠れた秩序を明らかにすることで、この枠組みは次世代光学デバイスの開発を加速する強力な手段となります」と述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部
発表論文: Kim et al. (2026) Revealing hidden periodicity in momentum-encoded metasurfaces
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